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<今週の扉アーカイヴス> PICK OF THE WEEK ARCHIVES |
<今週の扉アーカイヴ 2021> PICK OF THE WEEK ARCHIVE 2021 |
『ベルリン・アレクサンダー・プラッツ』 BERLIN ALEXANDERPLATZ 2021年5月20日(木)からオンライン配信開始 |
『ファーザー』 THE FATHER 2021年5月14日(金)から全国公開 |
『約束の宇宙(そら)』 PROXIMA 2021年4月16日(金)から日比谷・TOHOシネマズ シャンテほか |
『水を抱く女』 UNDINE 2021年3月26日(金)から新宿武蔵野館/アップリンク吉祥寺ほか |
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<今週の扉アーカイヴ 2020> PICK OF WEEK ARCHIVE 2020 |
『燃ゆる女の肖像』 PORTRAIT DE LA JEUNE FILLE EN FEU(PORTRAIT OF A LADY ON FIRE ) |
『おもかげ』 MADRE 2020年10月23日(金)からシネスイッチ銀座/YEBISU GARDEN CINEMAほか ■原題「MADRE」はスペイン語で母の意味。失われた息子の面影を求めてさまよう女性の話だが、その一途な思いはひとりの少年との出会いからふしぎな愛のものがたりへと昇華されてゆく。オスカー候補にもなった自作短編がまずあって、そこから長編へと発展させたのはスペインの新鋭ソロゴイェン監督。コンビを組むことの多いペーニャとの共同脚本。 |
『ある画家の数奇な運命』 WERK OHNE AUTOR(NEVER LOOK AWAY) 2020年10月2日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか |
『メイキング・オブ・モータウン』 HITSVILLE:THE MAKING OF MOTOWN 2020年9月18日(金)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか |
『糸』 2020年8月21日(金)から全国東宝系 ■SYNOPSIS■ 北海道で生まれ育った漣は13歳のときに寂し気な少女、葵と出会い強く意識する。葵は子ども食堂で食事をとるような孤独な子で、ある日、養父の虐待から逃れ家を出る。漣もあとを追いふたりは駆け落ちするが、すぐに警察に見つかり保護されてしまう。8年後、地元のチーズ工房で働く漣(菅田)が友人の結婚式で再会したのは、美しく成長した葵(小松)だった。軽くあいさつを交わすも、プレイボーイ風の男(斎藤)の高級車に乗り姿を消してしまう。別々の人生を歩みつづけるふたり。だがふたたびめぐり逢う日がやってくる。 ■ONEPOINT REVIEW■ 漣と葵の地元、北海道あるいは本州あたりで物語が完結するかと思えば、話は葵の新天地であるシンガポールや彼女の恋人が雲隠れする沖縄にまで広がってゆく。ややてんこ盛りかとも思えるが、平成のバブルのなごり感や主人公ふたりの物理的心情的な距離感が描かれ、メロドラマ的なすれ違いも生じながら、スケール感のある物語はいつしか収束してゆく。 (NORIKO YAMASHITA) 2020年8月17日 記 監督:瀬々敬久 脚本:林民夫 出演:菅田将暉/小松菜奈/斎藤工/榮倉奈々/山本美月/高杉真宙/倍賞美津子/成田凌/二階堂ふみ/永島敏行/馬場ふみか/竹原ピストル/山口紗弥加/松重豊/田中美佐子 2020年日本(130分) 配給:東宝 公式サイト:https://ito-movie.jp/ ©2020映画『糸』製作委員会 |
『17歳のウィーン フロイト教授人生のレッスン』 2020年7月24日(金)から渋谷・Bunkamuraル・シネマほか ■SYNOPSIS■ 湖のほとりの大自然で母と暮らすフランツ。17歳のある日、経済的支援者が急死してウィーンのたばこ店に働きに出ることに。子ども時代が突然終わり、はじめてのひとり暮らし都会暮らしに不安を抱くが、店主のオットーは反骨のひとで仕事だけではなく幅広く青年を導いてゆく。そんな彼がフランツに紹介したのが心理学者のフロイト教授。臆することなく接する青年に教授は心を許し、恋の悩み相談にもつきあってくれる。だがやがてオーストリアはナチス・ドイツに統合され、戦争の足音が忍び寄ってくる。 ■ONEPOINT REVIEW■ 架空のものがたりに実在の有名な心理学者をからませた意表を突く展開。夢判断でも知られるフロイトは青年に、見た夢を書き記しておきなさいとアドバイスする。神秘的な湖から始まるこのものがたり、青年の夢の世界も随所で幻想的に描かれ、映画全体に奥行きを与えている。 監督/共同脚本:ニコラウス・ライトナー 共同脚本:クラウス・リヒター 原作/ローベルト・ジーターラー著「キオスク」 出演:ジーモン・モルツェ/ブルーノ・ガンツ/ヨハネス・クリシュ/エマ・ドログノヴァ/レジーナ・フリッチ/カロリーネ・アイヒホルン 2018年オーストリア=ドイツ(113分) |
『SKIN/スキン』 2020年6月26日(金)から新宿シネマカリテほか ■SYNOPSIS■ 町なかをリクルート中にレイシスト集団が目をとめたのは、所在なげに仲間たちと遊ぶブライオン。ピックアップされたか細い少年はやがて全身タトゥーの屈強な男となり、白人至上主義組織を率いる夫婦を支えてゆく。まるで親子のような関係。だがほんとうの愛を知るのは3人の幼い子どもを育てるシングルマザー、ジュリーとの出会いだった。差別主義を嫌う彼女との愛を貫くには、組織との決別しかなかった。 ■ONEPOINT REVIEW■ ドキュメンタリーにもなったある男性の実話物語。全米中にはびこる憎悪の象徴、レイシスト集団の物語であり、入れたタトゥーが人生を決定づけ、そこからの脱却がいかに難しいかという話でもある。本編の習作ともいえる『SKIN 短編』は真逆の展開になっていて、刺青をとるのか入れるのか。視点を変えながらアメリカの闇である差別主義を等しく告発している。(NORIKO YAMASHITA) 2020年6月22日 記 監督/脚本:ガイ・ナティーヴ 出演:ジェイミー・ベル/ダニエル・マクドナルド/ダニエル・ヘンシュオール/ビル・キャンプ/マイク・コルスター/ヴェラ・ファーミガ 2019年アメリカ(118分) 配給:コピアポア・フィルム 原題:SKIN |
『コリーニ事件』 2020年6月12日(金)からYEBISU GARDEN CINEMAほか © 2019 Constantin Film Produktion GmbH ■ドイツ連邦議会で1968年に採択されたある改正法をめぐる人間ドラマ。起草者はナチスドイツ時代に特別法廷筆頭検事だった男で、そこに潜められた一文によりナチ犯罪人の多くが処罰を免れる結果となった。その不条理をミステリー仕立てで告発したサスペンス。原作は祖父がナチス高官だった出自を持ち、弁護士を経てベストラー作家となったシーラッハ。チュニジア系のムバレクとイタリアの大御所俳優フランコ・ネロという異色顔合わせも見どころだ。 ■SYNOPSIS■ 高級ホテルのスイートルームでドイツ人富豪が射殺される。犯人は30年以上も模範市民としてドイツに暮らす外国人労働者のコリーニ(ネロ)。新米弁護士カスパー(ムバレク)が国選弁護人に任命されるが、殺されたのはトルコ人の母を持つ自分を、父親代わりになって支えてくれた恩人ハンスだった。私情を捨て職務を遂行するうちに、犯人が使った希少な銃と同じものを子どものころハンスの書斎で見た記憶がよみがえる。 監督:マルコ・クロイツパイントナー 原作:フェルディナント・フォン・シーラッハ 出演:エリアス・ムバレク/アレクサンドラ・マリア・ララ/ハイナー・ラウタ―バッハ/フランコ・ネロ 2019年ドイツ(123分) 配給:クロックワークス 英題:THE COLLINI CASE 公式サイト:http://collini-movie.com/ |
Netflix オリジナル映画 『2人のローマ教皇』 Netflixで配信中 |
『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』 2020年3月13日(金)から新宿ピカデリーほか |
『スキャンダル』 2020年2月21日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか ■SYNOPSIS■ 元ミスアメリカのグレッチェン・カールソン(キッドマン)や元弁護士のメーガン・ケリー(セロン)ら才色兼備の女性キャスターが競い合うFOXニュース。大統領候補トランプの女性蔑視発言を追求したケリーは彼からの執拗な言葉の暴力に苦しめられるが、彼の人気を確信した同チャンネルはトランプ側につく。一方、最高責任者ロジャー・エイルズ(リスゴー)の性的誘いを拒んだ途端に降格させられたカールソンは彼を告発することを決心する。そんなある日、新入りの野心家ポスピシル(ロビー)がエイルズに呼び出される。 ■ONEPOINT REVIEW■ 映画界を震撼させた「#MeToo」騒動が映画プロデューサーのワインスタインVS女優たちなら、こちらはTV局のCEOと女性キャスター。同じような構図だが、真実を伝える使命を負うキャスターがミニスカートをはかせられ、性的関係を迫られるこちらのほうがより深刻かもしれない。エンターテインメントの映画ではあるけれど、こんなことがまかり通っている米国の恐ろしい一面を突きつけられる。 (Noriko Yamashita) 監督:ジェイ・ローチ 脚本:チャールズ・ランドルフ 出演:シャーリーズ・セロン/ニコール・キッドマン/マーゴット・ロビー/コニー・ブリットン/ジョン・リスゴー/ケイト・マッキノン/マルコム・マクダウェル 2019年アメリカ=カナダ(109分) 配給:ギャガ 原題:BOMBSHELL |
『リチャード・ジュエル』 2020年1月17日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか ■1996年のアトランタ・オリンピックのさなかに起きた無差別爆破事件。その第一容疑者としてFBIからマークされ、マスコミのスクープによって犯人扱いされてゆく警備員のリチャード・ジュエル。イーストウッドの監督最新作は、彼に焦点を当て真相を追った実話物語。ジュエル役のハウザーはじめ弁護士役のロックウェル、母親役のベイツと役者がそろった。 ■ONEPOINT REVIEW■ 脚本の土台になったのは、米「ヴァニティ・フェア」誌に事件の翌年掲載された1本の取材記事だった。リチャード、母のボビ、弁護士のワトソンから話を聞いたのはアル・パチーノ主演の『インサイダー』(1999年)や、女性戦場記者を描いた『プライベート・ウォー』(2018年)の原作者として知られる女性ライターのマリー・ブレナー。事件当時のジュエル本人の生の声を聞けたことは貴重だった。(Noriko Yamashita) |
『ダウントン・アビー』 2020年1月10日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか |
<今週の扉アーカイヴ2019> ARCHIVE 2019 |
『ラスト・クリスマス』 2019年12月6日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか |
『LORO ローロ 欲望のイタリア』 2019年11月15日(金)から渋谷・Bunkamuraル・シネマほか |
『真実』 2019年10月11日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか |
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト』 2019年9月27日(金)から丸の内ピカデリーほか |
『ディリリとパリの時間旅行』(アニメ―ション) 2019年8月24日(土)からYEBISU GARDEN CINEMAほか |
『存在のない子供たち』 2019年7月20日(土)からシネスイッチ銀座ほか |
『新聞記者』 2019年6月28日(金)から新宿ピカデリーほか |
『さよならくちびる』 2019年5月31日(金)から全国公開 ■ONEPOINT Review■ 監督:塩田明彦 出演:小松菜奈/門脇麦/成田凌 |
『コレット』 2019年5月17日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開 ■19世紀と20世紀というふたつの時代を生きたフランスの女性作家コレット。天真爛漫な子ども時代をへて年の離れた男性との熱愛、結婚そして創作活動と、その奔放な生きざまを『アリスのままで』の英国監督がさわやかに描いた。 自然を愛しのびのびと育ったコレットは、家に出入りする14歳も年上の作家ウィリーに見初められ結婚する。結婚生活は順調だったが、夫はサロンの常連で浪費癖が抜けず、また浮気も日常茶飯事。一方、人気作家の彼はしばしばほかのライターに自作を書かせており、目利きでもある彼がゴーストライターとして目をとめたのが妻のコレットだった。 ■ONEPOINT Review■ 最初は夫名義で出された「クローディーヌ」シリーズや「青い麦」の作者として知られるコレット。女性作家の草分けだが、夫の性の遍歴に負けず彼女自身も男性だけでなく、女性たちとも浮名を流したことで知られる。また作家活動だけではなく、同性の恋人ミッシーとともに前衛劇やパントマイムで舞台に立つこともあった。そんな型破りなコレットをナイトレイが演じているのも、作品にさわやかさを送り込んでいる一因だ。(N.Yamashita) 監督:ウォッシュ・ウエストモアランド 出演:キーラ・ナイトレイ/ドミニク・ウェストつ/デニース・ゴフ/フィオナ・ショウ/エレノア・トムリンソン/ロバート・ピュー/レイ・パンサキ 2018年英国=米国(111分) 配給:東北新社/STAR CHANNNEL MOVIES 原題:COLETTE 公式サイト:https://colette-movie.jp/ © 2017 Colette Film Holdings Ltd / The British Film Institute. All rights reserved. |
『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』 2019年5月10日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開 ■クラシック・バレエ界きっての個性派ダンサーとして異彩を放った旧ソ連出身のルドルフ・ヌレエフ。彼の幼少から運命の〝あの日〟までを描いた実話物語。英国の名優レイフ・ファインズが監督し、自ら教師役も演じている。 幼いころから踊りに興味を示したルドルフ少年は、母の理解を得てバレエ学校に入学。やがて成長して世界的に有名なキーロフ・バレエに入団する。バレエ団の一員として海外公演に同行した彼は、パリでオペラ座やルーブル美術館などの文化、芸術に触れ感銘を受けるが、なによりその心をとらえたのは祖国ソ連にはない自由な空気だった。 ■ONEPOINT Review■ ヌレエフというとやはり亡命後のことが一般的には有名。1977年にはケン・ラッセル監督『バレンチノ』の主役に抜擢され、93年にAIDS死するまでさまざまなスキャンダルにもまみれた。だが本作で描かれるのは、亡命に至るまでの若き日の姿だ。演じるのは本人よりもややイケメンな現役プリンシパルのオレグ・イヴェンコ。バレエ好きにはポルーニンが出演していることも特筆であり、映画的にはスリリングな終盤がやはり見どころ。(N.Yamashita) 監督/出演:レイフ・ファインズ 出演:オレグ・イヴェンコ/アデル・エグザルコプロス/ラファエル・ペルソナ/チュルパン・ハマートヴァ/セルゲイ・ポルーニン 2018年英国=ロシア=仏国(127分) 原題:THE WHITE CROW 配給:キノフィルムズ/木下グループ 公式サイト:http://white-crow.jp/ ©2019 BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND MAGNOLIA MAE FILMS メイキング映像:https://youtu.be/KMd_R_fP82E |
『バイス』 2019年4月5日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 ●飲んだくれで落ちこぼれの学生時代から一転、のちに妻となる恋人の強力なバックアップのもと成り上がってゆくひとりの男。最終的にはブッシュ政権を操った影の存在、ディック・チェイニー副大統領を描いた実話物語。彼だけでなく米国政治の表舞台で活躍?した存命の有名政治家の野心や悪徳、無能がつぎつぎと暴かれてゆく衝撃のドラマだ。 1963年、名門イェール大学を退学となったチェイニーはうだつの上がらない青春時代を過ごすが、恋人リンに愛想をつかされ目が覚める。政治を目指しはじめた彼は下院議員ラムズフェルドに出会ったのをきっかけにのし上がってゆき、ついにはブッシュ政権の副大統領(バイス)となり、無能なブッシュを傀儡にして政治を動かしはじめる。 ■ONEPOINT Review■ リサーチに自信あり、とはいえ、存命の有名政治家をここまでこき下ろすことができるのは、やはり米国に民主主義というものが根づいているからだろうか。もともとコメディをつくってきた監督は、リアルななかにブラックユーモアをたたえ茶化してゆく。その笑いに大いに応えているのが馬鹿ブッシュ(息子のほう)を演じているサム・ロックウェル。そしてチェイニー役のベイル、ラムズフェルド役のカレルと役者がそろった。(N.Yamashita) 監督:アダム・マッケイ 出演:クリスチャン・ベイル/エイミー・アダムス/スティーヴ・カレル/サム・ロックウェル/タイラー・ペリー 2018年米国(132分) 配給:ロングライド 原題:VICE ©2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved. 公式サイト:http://longride.jp/vice/ 予告編:https://www.youtube.com/watch?v=ttBtd7zmCvY |
『ビリーブ 未来への大逆転』 2019年3月22日(金)から全国公開 ●名門大学院を首席で卒業するも、女であることが壁となり弁護士の道を閉ざされるひとりの女性。80歳を超えたいまも現役で活躍する米国の最高裁判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグのいばらの道を描いた実話物語。のちに「男女平等」裁判に臨み、不本意な人生を逆転させてゆく痛快ドラマだ。 夫の勤務地の関係でハーバード大学院からコロンビア大学院へと移籍。1959年、ルースは首席で卒業して弁護士を目指す。だが子持ちの女性でユダヤ系の彼女に門戸を開いた弁護士事務所はひとつもなかった。やがて大学で法律を教えるようになり、あるとき男女差別を是正するのに格好の裁判があることを夫が教えてくれる。 ■ONEPOINT Review■ 日本の男女格差ランキングは先進国中、いつもダントツの最下位。全体でも毎年100位以下と悲惨な結果なのはよく知られるが、では自由平等をうたう国アメリカはどうか。じつは年々下降し昨年は51位だった。いくらトランプの時代でもこれはひどすぎ、しかし50年前はその比ではなかった。そんな過去の実態を、主人公ルースの実の甥で製作総指揮も務めたスティエプルマンが脚本にして暴いた。エンタテインメントで描く真実の物語。(N.Yamashita) 監督:ミミ・レダー 出演:フェリシティ・ジョーンズ/アーミー・ハマー/キャシー・ベイツ 2018年米国(120分) 配給:ギャガ 原題:ON THE BASIS OF SEX 公式サイト:https://gaga.ne.jp/believe/ ©2018 STORYTELLER DISTRIBUTION CO.,LLC. |
『運び屋』 2019年3月8日(金)から全国公開 ●ほんの軽い気持ち、アルバイト気分で始めたドライバーの仕事がじつは麻薬の“運び屋”。警察の大捜査がおよぶ騒動に巻き込まれてゆく老人の話だ。とは言ってもギャング映画やサスペンスの類ではない。おもに主人公と彼の家族関係にフォーカスした人間ドラマになっている。 長年高級ユリの栽培に打ち込んできたアールだが、家庭を顧みなかったことから妻や娘に見限られ、おまけにネット販売に押されて財産も失う。そんなとき、車を運転するだけで小遣い稼ぎができるいい話があると持ちかけられる。 ■ONEPOINT Review■ 久しぶりに監督と主演の両輪を務めるイーストウッド。御年89歳になろうというこの大長老は、“枯れてしまった”人間の情けなさや可笑しみを身をもって体現し、ハートフルな人間ドラマをつくってゆく。そこにあるのは演技以上のものだ。気骨のある、茶目っ気たっぷりなセリフのひとつひとつが、イーストウッド本人の言葉のようにも聞こえてくる。(N.Yamashita) 監督/出演:クリント・イーストウッド 出演:ブラッドリー・クーパー/ローレンス・フィッシュバーン 2018年米国(116分) 配給:ワーナー・ブラザース映画 原題:THE MULE 公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/hakobiyamovie/ ©2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC |
『グリーンブック』 3月1日(金)からTOHOシネマズ日比谷ほか ●アメリカで黒人のための公民権法が成立する少し前、1962年のニューヨークであったほんとうのお話。まだ黒人差別が公然と行われるなか、イタリア系移民の白人トニーはある日職を失い、著名な黒人ピアニスト“ドクター”のお抱え運転手となる。運転手兼マネージャー兼用心棒? コンサートツアーのためだが、ドクターは黒人差別が著しい南部都市へとどんどん足を延ばしてゆく。その方々で歓迎される一方、激しい差別も受ける。さまざまなトラブルを回避してゆくうちに、ふたりのあいだに不思議な絆が生まれる。トニーの実の息子が原案を練り映画化した。 ■ONEPOINT Review■ 「グリーンブック」というものが長らく存在し、黒人専用の宿泊施設ガイドブックであることをこの映画ではじめて知った。映画の主人公トニーもそんなものがあったのかと仰天する。黒人VS白人の構図だけではなく、白人のなかの貧困層イタリア系移民社会や、夫トニーの日常的な差別意識に心を痛める妻など複眼的な視点でドラマは構築されてゆく。過去に障害者を笑いのなか描いて物議をかもしたピーター・ファレリー監督。その真意と彼の人権意識は本作で十分証明されたのではないか。そしてふたりのアカデミー賞候補、マハ―シャラ・アリの安定の演技に加えて、モーテンセンの変貌ぶり(変身?)にも驚かされる。(N.Yamashita) 監督:ピーター・ファレリー 出演:ヴィゴ・モーテンセン/マハ―シャラ・アリ/リンダ・カーデリーニ 2018年米国(130分) 配給:ギャガ 原題:GREEN BOOK 公式サイト:https://gaga.ne.jp/greenbook/ |
『天才作家の妻 -40年目の真実-』 1月26日(土)から全国公開 ●ノーベル賞の季節、栄誉を授けられる男性たちが壇上に並びそれを妻たちが晴れがましく見守る。そんな例年の見慣れた光景に冷水を浴びせるような、シニカルな人間ドラマだ。 いよいよかと受賞の知らせを待つ作家のジョゼフとその妻ジョーン。受賞の電話を受け、ふたりで手を取り合って喜ぶも束の間。授賞式出席のためにスウェーデン入りするあたりから雲行きはおかしくなってくる。浮ついた夫とは対照的に過去のさまざまなことが頭をよぎるジョーン。夫の浮気性、そして何よりあの秘密。そこにひとりの記者がスキャンダルをかぎつけて近寄ってくる。 ■ONEPOINT Review■ 女性たちの逆襲が始まっている?妻のジョーンが最もキレる場面は夫のジョゼフが「妻は書きません」と記者たちの前で断言するところだ。自分を犠牲にするのはいとわない、だが怒りが爆発するにいたる数々の夫の不誠実。それがここではうまく描かれている。米国のメグ・ウォリッツァーの原作を、同じ米国のジェーン・アンダーソンが大胆に脚本化した。ふたりの女性ライターのたまもの。 (N.Yamashita) 監督:ビョルン・ルンゲ 出演:グレン・クローズ/ジョナサン・プライス/クリスチャン・スレーター/マックス・アイアンズ/ハリー・ロイド/アニー・スターク 2017年スウェーデン=米国=英国(101分) 配給:松竹 原題:THE WIFE 公式サイト:http://ten-tsuma.jp/ |
『蜘蛛の巣を払う女』 1月11日(金)から全国公開 ●新しい世紀に入ってまもなく出版されて大ベストセラーとなったミステリー小説シリーズ「ミレニアム」3部作は、地元スウェーデンで3作、その後デヴィッド・フィンチャー監督によりハリウッドで1作が映画化されこちらも大ヒットした。しかし「いわくつき」の作品として知られる。作者スティーグ・ラーソンが出版および映画化の前に他界してしまったからだ。パートナーの女性によって陽の目を見ることにはなったが、新作は2度と拝めないはずだった。ところが2015年になって別のスウェーデン人作家デヴィッド・ラーゲルクランツによる“新作”「蜘蛛の巣を払う女」が登場。本作はその映画化でハリウッド版第2弾でもある。フィンチャーはプロデュースに回り『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス監督がメガホンをとっている。 ●悪人を懲らしめながら生きるハッカーのリスベット。悪用すれば地球を危機に陥れかねないソフトウェアを米国国家安全保障局(NSA)から取り戻す仕事の依頼が入る。しかし関わるうちに背後の黒幕が自分の父と、彼との確執の果てにおいてきた双子の妹であることがわかってくる。 ■ONEPOINT Review■ スウェーデン版のノオミ・ラパス~ハリウッド第1弾のルーニー・マーラときて、ダークヒロイン、リスベットを今回演じるのはTVシリ ーズ「ザ・クラウン」でブレイクし売出し中のクレア・フォイ。好みは分かれるところだが三者三様の個性で見せてくれる。(N.Y.) 監督:フェデ・アルバレス 出演クレア・フォイ/シルヴィア・フークス/スヴェリル・グドナソン/クレス・バング/レイキース・スタンフィールド/スティーヴン・マーチャント 2018年米国 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 原題:THE GIRLS IN THE SPIDER'S WEB 公式サイト:http://www.girl-in-spidersweb.jp/ |
<今週の扉アーカイヴ 2018> ARCHIVE 2018 |
■私は、マリア・カラス(ドキュメンタリー) |
●本人が自ら語る伝記映画ほど説得力のあるものはないだろう。たとえそれが仮に偽りの言葉であったとしても、だ。オペラ・ディーヴァ、世紀の歌姫マリア・カラスが生前に残したインタビューを中心に貴重な映像で構成されたドキュメンタリー。プライベート・フィルムはじめ珍しい映像も多々含まれていて、熱心なカラス・ファンをも刺激する作品になっている。『永遠のマリア・カラス』でカラス役を演じたフランス女優ファニー・アルダンが、朗読で一役買っている。 |
■マダムのおかしな晩餐会 |
●ヨーロッパ映画界随一のユニークな風貌の女優と言えばこのひと、ロッシ・デ・パルマ。ペドロ・アルモドバル監督に見いだされ同監督作品に欠かせない名バイプレイヤーとして知られるが、彼女がメイドに扮しセレブ一家の社交の場をかき乱してゆく愉快な物語。主人と使用人というヒエラルキーにも一石投じた、少々シニカルな味わいのコメディーになっている。フランス出身でもともと作家の女性監督アマンダ・ステールは本邦初登場。 |
■バルバラ~セーヌの黒いバラ~ |
●黒づくめの衣装で舞台に立ち、異彩を放った伝説のシャンソン歌手バルバラ。エディット・ピアフ以来最大のという形容詞とともに語られることが多いが、その音楽スタイルはピアフともほかの誰とも似ていない。1997年に67歳で他界してからちょうど20年。特異な個性にふさわしく少々風変わりな、一筋縄ではいかない映画が誕生した。伝説の歌手バルバラの伝記映画を撮影中の女優ブリジットがこの映画の主人公。バルバラ本人の生前の映像も挿入され、言ってみれば二重構造の作品になっている。そして撮影が進むうちにいつしかブリジットはバルバラという存在に取り込まれ、観客もバルバラ本人とブリジットとの境が見極められなくなってくる。ブリジットを演じるのは女優で歌手でもあるジャンヌ・バリバール。監督は俳優としてのほうが知名度は高いが、監督としても活躍するマチュー・アマルリック。監督役という重要な役柄で彼自身登場する。 |
■ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲 |
●ジェームズ・ボンドとともにイギリスを代表する?秘密諜報員ジョニー・イングリッシュが三たび登場。1作目の『ジョニー・イングリッシュ』(03年)から15年、前作『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』(11年)を経て今回も、ローワン・アトキンソンのしょうもないギャグが炸裂する。 |
■テルマ |
●イザベル・ユペール主演の『母の残像』(2015年)で本邦デビューし、繊細な人間描写が注目されたデンマーク出身のヨアキム・トリアー監督。4作目の最新作は |
■アラン・デュカス 宮廷のレストラン |
●ポール・ボキューズの偉業を継ぐ次世代の料理人として、この8月に亡くなったジョエル・ロブションとともにフランス料理界をリードしてきたアラン・デュカス。彼は初の試みとしてパリ近郊のヴェルサイユ宮殿内にレストランを計画。ルイ16世やマリー・アントワネットの食卓をいまに再現しようというものだが、カメラは新たな挑戦に向かって始動した巨匠に2年間密着。フレンチだけでなく世界の料理界を牽引するデュカスの仕事ぶり、そして人となりを追ってゆく。美食を生み出してきた巨匠の眼光は鋭く、佇まいはいつもエレガントそのもの。その一方、気さくな一面も見せる。自身は実家の畑でできた野菜で育ち、肉はほとんど食べなかったと打ち明ける。いまは滅多に料理することなくむしろプロデューサー的存在だが、好奇心が枯れることはない。京都のデパ地下で気になるシュークリームを見つければ買い求 め、ホテルでさっそく味見する。自らの感性に沿った行動力、そして人柄の良さも成功の秘密だろうか。 |
■響-HIBIKI- |
●異才の出現を待ち望んでやまない文学界に突如すい星のごとく現れた天才文学少女、響。文芸誌の熱血女性編集者によって発掘され快進撃が始まってゆく。 |
■判決、ふたつの希望 |
●ふたりの市井の男による些細な口論が事件の始まりだった。ところが、キリスト教派のレバノン人とレバノンに暮らすパレスチナ難民という対立する民族だったことから国家レベルの大論争、大裁判へと発展してゆく。クエンティン・タランティーノ監督のもとでいっとき腕を磨いたレバノン出身のジアド・ドゥ・エイリ監督が、実際に自分の身に降りかかったことをもとに脚本・映画化し、同国作品としては初めてアカデミー賞(第90回)の外国語映画賞にノミネートされた。また主演のひとりカメル・エル=バシャはパレスティナ人として初めてベネチア映画祭(第74回)男優賞を受賞している。
違法建築の補修作業を進めていたパレスチナ人の現場監督ヤ―セル。水漏れを発見して補修していると、住人のトニーがそれを見て激高し破壊してしまう。ヤ―セルも怒って捨て台詞とともにその場を去るが、丸く収めようとした雇い主の説得でしぶしぶ謝罪に行くことに。ところがヤ―セルはトニーからとんでもない侮蔑的な言葉を投げつけられ、暴力をふるってしまう。 |
■ミッション:インポッシブル/フォールアウト |
●CIAの特殊作戦部門IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)のチーム・リーダー、イーサン・ハント。課せられたのは盗まれたプルトニウムの回収という地球規模の危機を背負うミッション。一筋縄でゆくはずもなく、パリ、ロンドン、ニュージーランドと美しい街や自然を背景に起こるのは危険に次ぐ危険、危機一髪の連続だ。そんな過酷でスリリングな任務を華麗なアクションとともにクリアしてゆくハント。それにしても、無謀なのはイーサン・ハントなのかそれともハントを演じるトム・クルーズなのか。55歳を超えたクルーズが満身創痍になりながら挑む、本気度伝わるクールで熱い最新作、シリーズ第6弾だ。 |
■北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ |
●1980年代初めのデビュー当時から「ヤバイ」存在として一目置かれてきたスロベニア(旧ユーゴスラビア)出身のロックバンド、ライバッハ。35年以上たったいまもなお存続し、2015年に北朝鮮で行ったコンサートを収めたのがこのドキュメンタリー映画。バンドの面々が現地入りし、リハーサルを行い、公演にこぎつけるまでの紆余曲折をカメラが収めているが、まずそのミスマッチぶりが面白い。 |
■告白小説、その結末 6月23日(土)から ヒューマントラストシネマ有楽町ほか |
●自殺した母とのことをつづりベストセラー作家になったデルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)。ある日、新刊のサイン会に熱烈なファンだというミステリアスな女性(エヴァ・グリーン)があらわれ、作家の私生活に入り込んでくる。ゴーストライターと称する彼女は「エル」と名乗り、友人として頼りになる一方で信じられない行動も目立ち始める。だがその波乱に満ちた人生に小説の題材を見出したデルフィーヌは、エルとともに山小屋にこもって執筆することに…。フランスの人気女性作家デルフィーヌ・ド・ヴィガンの小説をもとにしたポランスキー流サイコ・サスペンス。見終わったあとになるほどと思うところ多々あり。 |
■最初で最後のキス 6月2日(土)から新宿シネマカリテほか |
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■ピーターラビット |
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■ザ・スクエア 思いやりの聖域 4月28日(土)から全国公開 |
●「ザ・スクエア―思いやりの聖域」という参加型の現代アートを企画中の売れっ子キュレーター、クリスティアン。ある日、ひと助けをしたにも関わらず携帯と財布を盗まれて怒り心頭。部下から仕返しをけしかけられ、しぶしぶ行動に出たことから事態は思わぬ方向に向かってゆく。 |
さよなら、僕のマンハッタン 4月14日(土)から丸の内ピカデリーほか |
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ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 3月30日(金)からTOHOシネマズシャンテ |
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レッド・スパロー 3月30日(金)から全国公開 |
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