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インタビュー INTERVIEW |
■15~16世紀にネーデルランド(オランダ)で活躍し、没後500年のいまも現代人に強く訴えかけてくる謎の天才画家ヒエロニムス・ボス。その代表作で傑作、スペイン・プラド美術館が所蔵する三連祭壇画「快楽の園」にフォーカスしたドキュメンタリー。 ホセ・ルイス・ロペス=リナレス監督が製作の過程と作品について語った。 (2017年11月26日 記) |
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■作家のサルマン・ラシュディ氏には空振りを承知で依頼をしました。ですから、快諾の返事が来たときにはスタッフ一同が感激しました。 ■ラシュディ氏が指摘したように、三連祭壇画は鑑賞者に多くの罠を仕掛けています。バリエーション豊かな色使いや形、淡いブルーやピンクが想像力を刺激し、難解で謎に包まれた絵を魅力的で抗しがたいものにしています。一度この絵に引きつけられたら最後、絵の世界に耽溺するのは間違いありません。 ■ファルケンブルグ氏の見解では、ボスが「快楽の園」の制作を依頼された時、絵は観賞用であると同時に会話を引き出す役目を担っていました。16世紀初頭、ブルゴーニュ公国のナッサウ伯の邸宅に集った上流階級の人々は、まさにこの絵を鑑賞しながら会話していたようです。 <監督自身が小さなカメラを携え、鑑賞者のなかに入り込んで撮影>■.小さなカメラを抱えて、わたしひとりで鑑賞者のあいだに入ったからでしょうか、撮影にはほとんど気付かれませんでした。しかしこのシーンは撮影自体は簡単でしたが、そのあとがひと苦労でした。映画の出演許可書にサインをもらうために、スタッフが美術館中を走り回って、一人ひとりからサインをいただきました。 <エルヴィス・コステロからバッハの「マタイ受難曲」までバラエティに富んだ選曲>■サウンドトラックは脚本と同等に重要な機能を担う要素です。音楽の力で観客の感情を意図した方向へ向かわせることができますし、対象そのものに新たな色を与えることもあります。 <余韻を残すエンディング>■芸術家の使命は謎を深めることにあります。哲学者のミシェル・オンフレ氏が劇中で示唆するように、芸術が持っているのは、衝撃とカタルシスを通して人間の魂に優れたものを受け入れさせる力。わたしたちはみな謎を愛し、謎を求めています。謎を巡り、謎について考え、謎を解こうと会話し、謎に決着をつけることが人生をより豊かにより興味深いものにするのです。ボスは心からそのことを理解していたからこそ「快楽の園」を世に送り出したのではないでしょうか。 |
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謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス |
■Staff&Cast
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■ホセ・ルイス・ロペス=リナレス監督 |
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