ロードショー ROADSHOW 2024 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年10月11日(金)から全国公開 |
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■英国からドーバー海峡を渡り、ノルマンディー上陸作戦の式典にひとり臨む90歳。そのプチ冒険と、おなじ老人施設で余生を送る妻との深い絆を、実話をもとに描いたヒューマン・ドラマ。これを最後に引退宣言をしているマイケル・ケインと、本作が遺作となったグレンダ・ジャクソン。英国のふたりの名優の、長い俳優生活を締めくくる感慨深い作品になっている。監督は『理想の結婚』や『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』のオリヴァー・パーカー。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年10月4日(金)から新宿武蔵野館ほか全国公開 |
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■突然現れた3人組のヘビメタ・カンフーマスターに刺激され、髪を伸ばしブラック・サバスとカンフーにはまる主人公。だが次に出会った正教会の老師にさらに衝撃を受け、修道僧の道を目指し始める。純粋がゆえに感化されやすい、ソ連監視下のエストニアの青年を描いたカンフー・コメディ。『ノベンバー』が強烈な印象を残した同国出身のライナル・サルネットによる本邦公開2作目。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年9月27日(金)からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開 |
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■ネットでの転売を生業にしようと腰を据えはじめた男が、いつしか被害者を生み、バイオレンスの標的にされてゆくサスペンスタッチの人間ドラマ。フランスやベルギーなど海外との共同製作も多く海外での評価も定着している黒沢清監督が、今回は日本に腰を据え菅田将暉と初共働。ひと癖ある俳優陣が共演で名を連ねている。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年9月20日(金)からシネスイッチ銀座/UPLINK吉祥寺ほか全国公開 |
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■19世紀から20世紀に筆をふるったフランス、ナビ派の画家ピエール・ボナール。生涯をともにした女性マルトとの平坦ではない私生活を描いた人間ドラマ。監督は『セラフィーヌの庭』のマルタン・プロヴォ。『セラフィーヌの庭』『ヴィオレット ある作家の肖像』でコンビを組んだマルク・アブデルヌールが共同で脚本を書いている。ボナール役はギヨーム・ブラック監督の『女っ気なし』『やさしい人』の強烈なキャラクターから一転した役づくりのヴァンサン・マケニュ、マルト役はセシル・ドゥ・フランス。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年9月20日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿シネマカリテほか全国順次公開 |
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■パリ郊外でクラシック音楽を学ぶアルジェリア移民の姉妹。パリの名門音楽院への編入を契機に、指揮者希望に進路変更したことから起こる波紋と立ちふさがる壁。困難のなかオーケストラ結成を夢見る少女たちを描いた実話物語。監督は女性映画人のグループ「フランス映画女性サークル」を率いる『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』のマリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール。モデルとなった音楽家姉妹が全面的に協力している。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年9月14日(土)から渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 |
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■休職中だった新聞記者の女性が、職場復帰するなかで仕事に対する新たなやり甲斐を見出し、同居中の同性パートナーとの絆も再確認してゆく静かな静かなスロームービー。ノルウェー出身のエンブレム監督の生まれ故郷、港町オーレスンを舞台に、ブルーグレーの町並みや白夜の夏の夜が絵画のように美しいのも特徴的な作品。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年9月6日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 |
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■やさしい同棲相手に未練もなく、新しいパートナーに乗り換える主人公カナ。しかし心は満たされず、新しい関係も不安定になってゆく。言葉にならない不満と不安を抱えて生きる若い女性を描いたドラマ。主演は『あんのこと』ほか話題作が連なる売出し中の河合優実、監督は本作が長編第一作の山中瑤子。カンヌ映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞。山中監督のデビュー中編『あみこ』を見たデビュー前の河合が、自分は役者になるのでいつかキャスティング候補にと声をかけたことが今回の協働につながったという。23歳の河合と27歳の山中、注目のフレッシュなシネアストたち。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年8月23日(金)からBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開 |
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■インタビューやナレーション、音楽などを一切排除した独自のスタイルを貫き、高い評価を得てきた米ボストン出身の長老ドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマン。『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』や『ボストン市庁』につづきまな板に乗ったのは、美食家羨望の三つ星レストラン「トロワグロ」。緑に囲まれた田園地帯のレストランとその厨房、隣接のホテル、周辺の農家やワイナリーにも潜入してトロワグロを丸裸にする。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年8月16日(金)から新宿武蔵野館/シネスイッチ銀座/シネ・リーブル池袋ほか全国公開 |
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■独裁政権に抵抗し警察に追われる料理人兄弟が、たどり着いた港町で祖国の天才画家サルバドール・ダリの狂信的信奉者でレストラン・オーナーの男と出会い、騒動に巻き込まれてゆくお料理コメディ。有名レストラン「エル・ブリ」を追ったTVドキュメンタリー・シリーズ「エル・ブリ:夢の物語」のダビド・プジョル監督が、同レストランの天才シェフ、フェラン・アドリアをモデルに、美食家だったダリと組み合わせて描いた〝空想〟〝妄想〟ドラマ。ちなみにプジョル監督はダリのドキュメンタリーも手がけている。 ■SYNOPSIS■ 1974年、スペイン・バルセロナ。フランコ将軍の独裁政権に抵抗して騒乱を起こした料理人のアルベルト(ポル・ロペス)と、シェフの腕前を持つ兄のフェルナンド(イバン・マサゲ)らは、海辺の町カダケスへとたどり着く。そこは海産物が美味しい、美食で有名な天才画家ダリの別荘がある町で、友だちのつてでダリの狂信的信者ジュールズ(ジョゼ・ガルシア)が経営するレストラン「シュルレアル」で働くことに。だがジュールズの熱烈な歓迎ぶりにも関わらず、ダリは一向に来店の気配を見せなかった。一方、前任者に代わりシェフとなったフェルナンドは調理場を磨き上げ、あっと驚くような料理をつぎつぎ発案していった。 ■ONEPOINT REVIEW■ まったくのつくりごとなのに、どこかリアル感が漂うのは、プジョル監督がフェラン・アドリアとサルバドール・ダリ両者のドキュメンタリーを手がけ、ふたりのことを知りつくしているからだろうか。舞台となっているのは実際にダリの別荘があったスペイン・カタルーニャの漁村カダケス。そこの露店で供されるエビや貝類を鉄板で焼いただけの素朴な料理、これがまたフェラン・アドリアの代名詞となった泡の料理とは対照的だが食欲を誘う。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年8月14日 記 監督/脚本:ダビド・プジョル 出演:ジョゼ・ガルシア/イバン・マサゲ/クララ・ポンソ/ポル・ロペス 2023年スペイン(115分) 原題:ESPERANDO A DALÍ(WAITING FOR DALI) 配給:ファインフィルムズ=コムストックグループ 公式サイト:https://dali-restaurant.com/ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年8月16日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿武蔵野館/ YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国公開 |
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■ナチス・ドイツ占領下の第二次大戦末期のデンマーク。難民と化した多数のドイツ人を押し付けられた大学学長一家が、人道的心情と敵国に対する国民感情のはざまに立たされ、家族間の分断にも追い込まれてゆく人間ドラマ。監督と脚本は『バーバラと心の巨人』以来2度目の長編となる地元デンマーク出身のアンダース・ウォルター。オーディションで選ばれたラーセン少年が、右にも左にも傾きかねない不安定な子どもの役を演じている。 ■SYNOPSIS■ 1945年、第二次大戦末期のデンマーク。ナチス・ドイツ占領下ながらヤコブが学長を務めるリュスリンゲ市民大学には穏やかな空気が流れていたが、敗戦濃厚なドイツ軍から難民の受け入れを強制されて一転する。200人と聞かされていた難民の数は実際には500人を超え、明け渡した体育館はたちまちカオス状態に。しかもその多くが老人と子どもで、劣悪な環境から発生した感染症ジフテリアによって死者もふえてゆく。食べ物を分け与えるヤコブの妻リス。ヤコブも薬剤探しに奔走するが周囲からは売国奴扱いされ、息子のセアンも卑劣ないじめを受ける。 ■ONEPOINT REVIEW■ 一方的に侵攻してやりたい放題のナチス・ドイツに対するデンマーク市民の怒りと憎しみは、どれほどのものだったか。そこからようやく解放されようというときの話だ。妻リスの慈愛も、感染症を止めようとするヤコブの姿も誤解され、レジスタンスで一枚岩となっている人々には売国奴に映ってしまう。窮地に追い込まれる一家を最後に救うのは、両親の子どもたちに対する確固たる愛情だろうか。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年8月14日 記 監督/脚本:アンダース・ウォルター 出演:ピルー・アスベック/ラッセ・ピーター・ラーセン/カトリーヌ・グライス=ローゼンタール 2023年デンマーク(101分) 英題:BEFORE 配給:スターキャット 公式サイト:https://cinema.starcat.co.jp/bokuno/ © 2023 NORDISK FILM PRODUCTION A/S |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年8月9日(金)から日比谷・TOHOシネマズ シャンテほか全国公開 |
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- F COMME FILM - SND - FRANCE 2 CINÉMA- ARTÉMIS PRODUCTIONS |
■クラシック音楽の垣根を越えて世界中で愛されてきたモーリス・ラヴェル作曲のバレエ音楽「ボレロ」。その制作秘話とラヴェルのミステリアスな私生活に迫る音楽映画。監督は『夜明けの祈り』のアンヌ・フォンテーヌ。主演は10年前『黒いスーツを着た男』でアラン・ドロンの再来ともてはやされたラファエル・ペルソナ。共演はドリヤ・ティエリ、ジャンヌ・バリバール、エマニュエル・ドゥヴォス、ヴァンサン・ペレーズ、そしてアレクサンドル・タローという顔ぶれ。 ■SYNOPSIS■ 若手アーティストの登竜門ローマ賞の落選をくり返す作曲家モーリス・ラヴェル(ラファエル・ペルソナ)。だがやがてその才能は認められ一目置かれる存在となる。そんなある日、バレエダンサーで振付師のイダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・バリバール)から、新作のための曲を書いてほしいと依頼される。既存曲の編曲でお茶を濁そうとするラヴェルだったが、米国ツアー中も一向に筆が進まず帰国。すると、曲はもうすぐ完成するとイルダが吹聴してると、友人のミシア(ドリヤ・ティリエ)から聞かされ当惑する。ミシアは富豪と結婚しているサロンの花で、ラヴェルとは微妙で不思議な関係を築いていた。ある日、家政婦のルヴロ夫人からヒントを得てついに曲が完成。しかし斬新な作品につけられたイダの振り付けは、到底ラヴェルが受け入れられるものではなかった。 ■ONEPOINT REVIEW■ 音楽ファンにサプライズがふたつ。ひとつはフランスのピアニスト、アレクサンドル・タローが、ラヴェルの作品に難癖をつける小憎らしい音楽評論家ピエール・ラロを演じていること。演技者としてはミヒャエル・ハネケの『愛、アムール』につづいて2度目となり、加えてここではサントラの数曲を演奏し、ラヴェルの手の役も数カ所(約20パーセントだそうだ)担っている。もうひとつは「ボレロ」誕生の舞台となった家(いまはラヴェル博物館)で撮影していること。そしてモーリス・ベジャール振り付け以前の〝初演〟ボレロを、イダを演じたジャンヌ・バリバールみずから踊るのも見どころだ。 (NORIKO YAMASHITA)2024年8月9日 記 監督/共同脚本:アンヌ・フォンテーヌ 共同脚本:クレール・バルレ/ジャック・フィエスキ 音楽:ブリュノ・クーレ 出演:ラファエル・ペルソナ/ドリヤ・ティリエ/ジャンヌ・バリバール/エマニュエル・ドゥヴォス/ヴァンサン・ペレーズ/アレクサンドル・タロー 2024年フランス(121分) 原題:BOLERO 配給:ギャガ 公式サイト:https://gaga.ne.jp/bolero |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年8月9日(金)からBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開 |
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■1978年にイタリアで実際に起きたアルド・モーロ元首相誘拐事件。2003年発表の『夜よ、こんにちは』ではテロリストの視点から描き問題提起したマルコ・ベロッキオ監督が、おなじテーマを多角的なべつの視点で描き直した340分の大作作品。時の政治家やローマ教皇、モーロの妻、モーロ自身、そしてふたたびテロリスト集団にも目を向けながら、当時の政治状況やそれぞれの心情、事件の真相に迫ってゆく。前後編の2回に分けて劇場公開。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年8月2日(金)からシネマート新宿ほか全国公開 |
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- LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE - FRANCE 2 CINEMA - LES FILMS DU MONSIEU |
■長年、子どもたちへの性的虐待を放置されてきた小児性愛の作家、ガブリエル・マツネフ。14歳で彼と出会い翻弄された被害者ヴァネッサ・スプリンゴラが著し、地元フランスで大きな反響を呼んた告発本の映画化。監督は『マイ・エンジェル』のヴァネッサ・フィロ。主演はオーディションで選ばれたキム・イジュラン、30年後の主人公を『天使が見た夢』のエロディ・ブシェーズが演じている。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年7月26日(金)から新宿ピカデリー/シネスイッチ銀座ほか全国公開 |
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■家族をホロコーストで失い、南米の地にひとり寂しく生きる老人。隣接する一軒家にヒトラーそっくりの男が越してきたことから起こる騒動と、頑固な老人ふたりのやり取りをユーモラスに描いた人間ドラマ。監督はロシア生まれイスラエル育ちのレオン・プルドフスキー。スコットランド出身のデヴィッド・ヘイマンと、ドイツ人俳優ウド・キアというベテランふたりが共演。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年7月26日(金)から新宿シネマカリテほか全国順次公開 |
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■シュールでブラックな空想を抱きながら、単調な日々をやり過ごしているひとり暮らしの事務職の女性。ある日、中途採用の男性が職場にやって来たことから、代わり映えのしなかった日常が少しずつ動きはじめる。監督は米出身で本邦初登場の新鋭レイチェル・ランバート。そして、ハリウッド作品『スター・ウォーズ』シリーズのレイ役で名を上げた英国俳優デイジー・リドリーが主人公を演じ、プロデューサーとしても一角を担っている。 ■SYNOPSIS■ 米オレゴン州、人口1万人ほどのちいさな港町アストリア。従業員10人足らずのオフィスで事務職を務めるフラン(デイジー・リドリー)の日常は規則正しく単調だ。夜の10時台にはベッドに入り、朝は簡単な食事をとって職場に向かう。人づきあいが苦手なのか同僚たちのたわいのない会話に入ることもなく、ときには超現実的な空想が現実世界と交差する。ある日、ベテラン女性職員が定年退職することになり、代わりにロバート(デイヴ・メルヘジ)という男性が中途採用されるが、フランは彼のことが気になるのだった。 ■ONEPOINT REVIEW■ 主人公のフランはなにがきっかけで殻に閉じこもるようになったのだろう。「SOMETIMES I THINK ABOUT DYING」の原題からわかるように心に抱えるのは闇、か。若い女性がオーナーの職場はそんな彼女の性格や生き方を丸ごと受け入れ、みんなの輪のなかに無理して入ろうとしない彼女のことを容認してくれていて、職場自体は居心地がよさそう。だが他人にはぜんぜん関心のなさそうなフランが、なぜか新たな同僚ロバートのことは気になって仕方がない。恋なのか、なんらかの共感なのか。そんな気持ちの変化によって、閉ざされていた心の扉が少しずつ開いてゆく。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年7月24日 記 監督:レイチェル・ランバート 脚本:ケヴィン・アルメント/ステファニー・アベル・ホロウィッツ/ケイティ・ライト・ミード 出演:デイジー・リドリー/デイヴ・メルヘジ/パーヴェシュ・チーナ/マルシア・デボニス 2023年アメリカ(93分) 原題:SOMETIMES I THINK ABOUT DYING 配給:樂舎 公式サイト:sometimes-movie.jp |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年7月19日(金)からBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下/シネスイッチ銀座ほか全国順次公開 |
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■紀元前に独自の文化を築いたエトルリア人の墓を荒らし、日銭を稼ぐ墓泥棒たち。そのひとりでお宝探しの特殊能力を持つ男の遺物をめぐる真の思いと、失われた恋人を探し求める姿を想像力豊かに描いたドラマ。監督は『幸福なラザロ』ほかで独特の感性を見せ、イタリア映画界を牽引するアリーチェ・ロルヴァケル。主役は『ゴッズ・オウン・カントリー』『帰らない日曜日』の英国俳優ジョシュ・オコナー。共演はベテランのイザベラ・ロッセリーニほか。 ■SYNOPSIS■ ムショ帰りの英国人アーサー(ジョシュ・オコナー)が列車に乗って向かうのは、最愛の女性の母親フローラ(イザベラ・ロッセリーニ)が暮らす田舎町。だが愛するひとの所在はわからないままで、幻のような存在をひたすら探し求めるしかない。一方、彼の帰還を手ぐすね引いて待っていたのは墓泥棒という闇の〝仕事〟で結束する仲間たち。アーサーは地中に眠る埋葬品を探し当てる特殊能力を備えていて、彼なしではお宝さがしもままならないのだ。ある日、みんなで海岸で戯れていたときのこと、アーサーのアンテナがなにかをキャッチする。そして掘っていくとそこには世にも美しい女神像が佇んでいた。 ■ONEPOINT REVIEW■ ときどき現れては消える若い女性。彼女はこの世のひとか、あるいはあの世のお方なのか。それによってエンディングの意味も大きく変わってくるように思える。アーサーは骨董品で一獲千金を狙うのではなく、考古学的な興味やその美しさに惹かれる男であり、幻みたいな女性を探しつづける男。古代の埋葬品がザックザクのイタリア・トスカーナを舞台にした、ロマンチックな男の物語だった。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年7月19日 記 監督/脚本:アリーチェ・ロルヴァケル 出演:ジョシュ・オコナー/イザベラ・ロッセリーニ/アルバ・ロルヴァケル/カロル・ドゥアルテ/ヴィンチェンツォ・ネモラート 2023年イタリア=フランス(131分) 原題:LA CHIMERA 配給:ビターズ・エンド 公式サイト:www.bitters.co.jp/hakadorobou 公式X:https://twitter.com/BittersEnd_inc |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年7月12日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 |
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■13歳の少年と36歳の女性との不倫が世間を騒がせてから20数年後、〝事件〟が映画化されることになり、いまは結婚しているふたりのもとを、主演女優が役づくりのために訪れる…。1996年にアメリカで実際にあった「メイ・ディセンバー事件」をベースに、実話から少し離れて、当事者たちの内面を描いた人間ドラマ。監督は『アイム・ノット・ゼア』『キャロル』のトッド・ヘインズ。映画業界でキャスティング・スタッフとして働き、夫とともにショート・フィルムの脚本や監督も務めてきたサミー・バーチの書下ろし脚本。ナタリー・ポートマン、ジュリアン・ムーア、そして新星のチャールズ・メルトンが共演している。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年7月12日(金)から新宿武蔵野館ほか全国順次公開 |
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■1900年ごろからのオーストリア・アルプスを舞台に、養子としてもらわれてきた孤児の少年のその後の生涯を描いた人間ドラマ。ローベルト・ゼータ―ラーのベストセラー小説を『マーサの幸せレシピ』の共同プロデューサー、ウルリッヒ・リマ―が脚本化し、『アンネの日記』(2016年)のハンス・シュタイン監督で映画化した。主役のアンドレアスは、少年期、青年期、老年期を3人の俳優で演じている。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年6月28日(金)から ヒューマントラストシネマ有楽町/新宿シネマカリテ/アップリンク吉祥寺/菊川・Strangerほか全国順次公開 |
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■小さなビルを舞台に、オーナーの女性と旧知の映画監督、その娘、そこで出会った女性らによる人間関係、恋模様をユーモラスにアイロニカルに描いたホン・サンス監督最新作。映画監督を演じるのは〝冬ソナ〟以来日本でもおなじみ、ホン・サンス作品にもたびたび登場するクォン・ヘヒョ。女性陣もサンス作品の常連が並んでいる。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年6月21日(金)から新宿武蔵野館/シネスイッチ銀座/アップリンク吉祥寺ほか全国公開 |
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AKSON STUDIO SP. |
■幸せの絶頂のさなかに恋人をナチスに殺され、抜け殻のようになったポーランド系ユダヤ人男性フィリップ。復讐をくり返す彼の前に、ひとりのドイツ人女性が現れて心をとらえる。原作はポーランド人作家レオポルド・ティルマンドが書いた発禁処分の自伝的小説。監督は『カティンの森』や『残像』などアンジェイ・ワイダ監督作品をプロデュースしてきたミハウ・クフィェチンスキ。 ■SYNOPSIS■ 1941年、ポーランド・ワルシャワ。フィリップ(エリック・クルム)はダンスのお披露目の舞台で、突然乱入してきたナチスの兵士たちに恋人サラと親族を殺される。2年後、ドイツ・フランクフルトの高級ホテルに、フランス人と偽りウェイターとして働くフィリップがいた。肉体を鍛え上げた彼は、戦場に行っている上級軍人の妻たちを誘惑しては屈折した復讐をくり返していたが、遊び半分で声をかけた若いドイツ人女性リザ(カロリーネ・ハルティヒ)に心惹かれてゆく。 ■ONEPOINT REVIEW■ セクシーな肉体を武器に、ナチスの妻たちをつぎつぎ誘惑しては復讐をくり返すフィリップは、ある日出会った若いドイツ人女性に心をうばわれてゆく。そもそも彼がつづけてきた復讐は、志というより自暴自棄の果ての行いだったのか。それとも敵味方関係なく愛の力は強大ということか。フィリップの身辺で悲劇がさらに重なり、捨て身となったこの男は大胆な行動に出て、サスペンス的吸引力で終盤を迎える。(NORIKO YAMASHITA) 2024年6月20日 記 監督/共同脚本:ミハウ・クフィェチンスキ 共同脚本:ミハル・マテキエヴィチ 原作:レオポルド・ティルマンド「Filip」 出演:エリック・クルム・ジュニア/ヴィクトール・ムーテレ/カロリーネ・ハルティヒ/ゾーイ・シュトラウプ/ジョゼフ・アルタムーラ/トム・ファン・ケセル/ガブリエル・ラープ/ロベルト・ヴィエツキーヴィッチ/サンドラ・ドルジマルスカ/ハンナ・スレジンスカ/マテウシュ・ジェジニチャク/フィリップ・ギンシュ 2022年ポーランド(124分) 原題:FILIP 配給:彩プロ 公式サイト:https://filip.ayapro.ne.jp/ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年6月7日(金)から新宿武蔵野館/丸の内TOEI/池袋シネマ・ロサほか全国公開 |
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■学校にも通わず十代のころから生活のため母親に売春を強いられ、挙句の果てにクスリにも手を染めた若い女性。その壮絶な生きざまと再生、挫折を描いた人間ドラマ。『SR サイタマノラッパー』で注目されて以来多彩な作品を送り出してきた入江悠監督が、ちいさな新聞記事に引きつけられ自ら脚本を書いて映画化した。主演は2021年ブルーリボン賞新人賞受賞の河合優実、癖のある刑事役に佐藤二朗、そして記者役に稲垣吾郎。 ■SYNOPSIS■ 買春の客も売春の自分も覚醒剤で朦朧とするなか、あんは警察に逮捕されて多々羅(佐藤二朗)という刑事の取り調べを受ける。多々羅は得体の知れない男だったが、彼にすすめられるままに薬物更生の自助グループに出入りするようになり、そこで桐野(稲垣吾郎)という記者とも言葉を交わすようになる。ふたりともあんのことを気遣ってくれているように見えた。小学校もろくに通っていないあんにとって〝ふつう〟の就職は困難。しかし多々羅はあんが希望する介護の仕事を探してきてくれた。だが母と祖母と暮らす団地に久しぶりに帰ってみても、母親の虐待は相変わらずだった。 ■ONEPOINT REVIEW■ ゴミ屋敷と化した部屋で足の悪い祖母(広岡由里子)が一日中テレビを見ている。あんが介護職を希望したのは、自分のことをかばってくれる祖母の面倒を見たいから。一方娘への虐待がやまない母親の春海(河井青葉)は、不思議なことに娘のことをママと呼ぶ。彼女もまた親の愛情を得られないまま親になってしまった人間なのか。負の連鎖はいったいどこから始まっているのか。あんの痛ましい人生の背後にいくつもの同類の人生が垣間見られる。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年6月6日 記 監督/脚本:入江悠 出演:河合優実/佐藤二朗/稲垣吾郎 河井青葉/広岡由里子/早見あかり 2024年日本(114分) 配給:キノフィルムズ 公式サイト:https://annokoto.jp/ ©2023『あんのこと』製作委員会 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年6月7日(金)から全国公開 |
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■絶縁状態にあった姉夫婦が急死し、そのひとり娘を勢いで引きとることになったひと見知りでひととの暮らしが大の苦手の女性。手探りの同居生活のなか、不器用に築かれてゆくふたりの絆を描いた人間ドラマ。ヤマシタトモコ原作のコミックを脚本化し実写映画化したのは、東京藝大大学院映像研究科修了の新鋭、瀬田なつき。ぶっきらぼうな叔母を新垣結衣が、その姪で明るく人懐っこい少女をテレビドラマやCMで売出し中の早瀬憩が演じている。 ■SYNOPSIS■ 中学の卒業式を間近に控えたある日、両親が目の前で交通事故に遭い、朝(早瀬憩)は突然みなしごになってしまう。通夜の席、親戚をたらい回しかと、親類たちの心無いひそひそ話が飛び交うなか、わたしが引き取ると名乗りを上げたのは、朝の母親の妹で、姉とは相容れず絶縁状態にあった槙生(新垣結衣)だった。ひととのコミュニケーションもひとと暮らすのも死ぬほど苦手な槇生は、親友と呼べる人間はいるものの、ほぼ一日家に閉じこもりで書き物の仕事をしているそんなひと。槇生の家にやって来た朝は、まず部屋の乱雑ぶりに驚くのだった。 ■ONEPOINT REVIEW■ 姉とはすべてが正反対で受け入れることができなかった槇生。だからと言ってその娘とも相性が悪いとは限らない。この子は妹が知らなかった姉のいい面をたくさん受けついでいるかもしれない。また朝が槇生の存在を知りながらとくに悪印象を持っていないのは、彼女の母が自分の妹の悪口を娘に言っていなかった証拠ではないか。槇生自身、未知の世界に一歩踏み出したことにより、みずから囲っていた殻がひとつ割れたようにも見える。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年6月5日 記 監督/脚本:瀬田なつき 原作:ヤマシタトモコ「違国日記」(祥伝社FEEL COMICS) 出演:新垣結衣/早瀬憩 夏帆/小宮山莉渚/中村優子/伊礼姫奈/滝澤エリカ/染谷将太/銀粉蝶/瀬戸康史 2024年日本(139分) 配給:東京テアトル/ショウゲート 公式サイト:ikoku-movie.com Ⓒ2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会 |
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2024年5月31日(金)から新宿シネマカリテほか全国順次公開 |
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■ある日、見知らぬ島でめざめ、そのまま島で暮らすようになる若い女性。金山として栄えた佐渡島を舞台に、生と死のはざまでさまよう者たちの魂を幻想的に描いた人間ドラマ。プロデューサーでパートナーの畠中美奈とともに、二人三脚で生み出した富名哲也監督の長編2作目。佐渡島に眠るさまざまな遺構でのロケが独特の雰囲気を醸し出している。小松菜奈と松田龍平のダブル主演。 ■SYNOPSIS■ かつて金山として栄えた佐渡島。島の施設で清掃の仕事をするキイ(大竹しのぶ)は建物内で倒れていた若い女性(小松菜奈)を発見して家につれ帰る。家にはふたりの小さな子どももいて、女性はミドリと名づけられキイとおなじように島で清掃員として働くようになる。ある日猫の鳴き声に導かれるように入った建物で、ミドリはアオ(松田龍平)と出会うが、彼もまたミドリと同じように過去の記憶がなく、ふたりは寺の山門で待ち合わせてはおなじ時を過ごすようになる。 ■ONEPOINT REVIEW■ 「生まれ変わったら、今度こそ一緒になろうね」。そう言って身を投げたように見えた男女。しかしあれは現実だったのか、それとも夢の世界だったのか。富名監督の脚本はループの糸口が見当たらず幻想的なだけではなくミステリアスで、観ているものを惑わせる。映画の起点となったという佐渡金山にひっそりと眠る鉱山労働者「無宿人」の墓。彷徨えるそれら魂の向こうには、かならずだれにでも訪れる死があって、その魂に捧げられているようにも見える。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年5月28日 記 監督/脚本:富名哲也 企画/プロデュース/キャスティング:畠中美奈 音楽:野田洋次郎 出演:小松菜奈/松田龍平 片岡千之助/石橋静河/内田也哉子/森山開次/辰巳満次郎 / 田中泯 大竹しのぶ 2024年日本(101分) 配給:テツヤトミナフィルム 配給協力:ハピネットファントム・スタジオ 公式サイト:https://watakushidomowa.com/ ©2023 テツヤトミナフィルム |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年5月24日(金)から新宿武蔵野館/ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開 |
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■老朽化とスラム化が著しい団地の一掃をはかる行政と、不満が募る住民たち。市長が急死しクリーンなイメージの男性が臨時市長となるが、職務を遂行するうちに強硬な態度をとるようになり、住民たちとの軋轢が激しくなってゆく。同じパリ郊外の少年たちと警察の攻防をアグレッシヴに描き注目された『レ・ミゼラブル』のラジ・リ監督による長編2作目で、群像劇として書きおろされている。タイトルの「バティモン5」は、郊外のモンフェルメイユで育った監督がじっさいに暮らしていた建物の名前だという。 ■SYNOPSIS■ 移民が多く暮らすパリ郊外。老朽化したアパート爆破のデモンストレーションのさなかに市長が急死し、小児科医でもある若き政治家ピエールが臨時市長となる。一方、バティモン5の住人で移民たちのケアにあたっているアフリカ系フランス人女性アビーは、副市長から協働を持ちかけられるも行政に不信感を抱いており、容易には応じない。そのアビーが何かと頼りにしている友人ブラズが理不尽な目に遭い収監。背後には臨時市長による強硬策があった。移民と行政との関係が日々悪化してゆくなか、ある日トラブルが起きる。 ■ONEPOINT REVIEW■ 数十年前の開発時にはさぞかし美しかったであろうモダンな建物群。けれどいまや外観だけでなく内部もボロボロ。高層にもかかわらずエレベーターは止まったままで、壁はいたずら書きだらけだ。もはや取り壊ししか手の施しようのない状況に追い込まれるなか事故が起こり、それがきっかけでひとりの青年の怒りが爆発してしまう。そして怒りの先がごくふつうの小市民なのがまた切ない。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年5月23日 記 監督/脚本:ラジ・リ 出演:アンタ・ディアウ/アレクシス・マネンティ/アリストート・ルインドゥラ/スティーヴ・ティアンチュー/オレリア・プティ/ジャンヌ・バリバール 2023年フランス=ベルギー(105分) 原題︓BÂTIMENT 5 配給:STAR CHANNEL MOVIES 公式サイト:block5-movie.com © SRAB FILMS - LYLY FILMS - FRANCE 2 CINÉMA - PANACHE PRODUCTIONS - LA COMPAGNIE CINÉMATOGRAPHIQUE –2023 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年5 月24 日(金)から新宿ピカデリー/日比谷・TOHOシネマズ シャンテほか全国公開 |
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■牧歌的な田舎暮らしに憧れるナチス将校の妻が、数年かけてつくりあげた庭。陽光がふりそそぎ、子どもたちが歓声を上げて駆けまわるその庭の向こうには、塀一枚で隔てられたアウシュヴィッツ強制収容所が広がる。視点を180度変えて描いた異色のホロコースト作品。マーティン・エイミスの原作を『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』のイギリス人監督ジョナサン・グレイザーで映画化。収容所所長役を『ヒトラー暗殺、13分の誤算』のクリスティアン・フリーデルが、その妻役を『落下の解剖学』のザンドラ・ヒュラーが演じている。第76 回カンヌ国際映画祭でパルムドールに次ぐグランプリ受賞。 ■SYNOPSIS■ ドイツ東方の占領国ポーランドにつくられたユダヤ人を抹殺するための強制収容所。その目と鼻の先に塀ひとつで区切られて立つ瀟洒な邸宅には、収容所所長のルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)とその妻へートヴィヒ(ザンドラ・ヒュラー)、そして子どもたちがなに不自由なく健やかに暮らしている。妻のへ―ㇳヴィヒは庭づくりに余念がなく、塀をツタでおおって〝向こう側〟を完全に見えなくするつもり、と遠くから遊びに来ている母親に説明する。ところがある日、夫ルドルフの栄転が決まり、ここを引き払うと妻に告げる。 ■ONEPOINT REVIEW■ ユダヤ人虐殺で悪名高い実在の戦争犯罪人、ルドルフ・ヘス一家を描いた物語だが、虐殺シーンのたぐいはなく、ホームドラマのように描かれてゆく。しかし収容所と地続きという立地を考えれば、へ―ㇳヴィヒが鏡の前でポーズをとって羽織ってみるファーコートやそのポケットから取り出して唇にさす口紅が、虐待したユダヤ人からの戦利品であることがわかりぞっとさせる。ホロコースト映画をさんざん見てきたからこそわかるこの作品の恐ろしさ。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年5月22日 記 監督/脚本:ジョナサン・グレイザー 原作:マーティン・エイミス 出演:クリスティアン・フリーデル/ザンドラ・ヒュラー 2023年アメリカ=イギリス=ポーランド(105分) 原題:THE ZONE OF INTEREST 配給:ハピネットファントム・スタジオ 公式サイト:https://happinet-phantom.com/thezoneofinterest/ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年5月17日(金)から新宿武蔵野館/シネスイッチ銀座/シネ・リーブル池袋ほか全国公開 |
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©ifProductions_JudithKaufmann(中と下) |
■盗みの疑いをかけられた生徒を守ろうと起こした行動が誤解を招き、信頼を得ていたはずの子どもたちからも糾弾されて窮地に追い込まれてゆく新任教師を、サスペンスタッチで描いた人間ドラマ。主演はミヒャエル・ハネケ監督の『白いリボン』などに出演してきたレオニー・ベネシュ。脚本は長編4作目にして劇場公開本邦デビューとなるイルケル・チャタク監督のオリジナルで、ドイツ映画賞5部門(作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞)受賞をはじめ、アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートなど多数の映画祭でも注目。 ■SYNOPSIS■ 中学校教師のカーラ・ノヴァク(レオニー・ベネシュ)は赴任してきて日が浅いが、同僚や生徒たちからの信頼を得ていて新学期からは1年生のクラスを受け持っている。彼女自身ポーランド系ドイツ人であるように生徒たちの人種は多様で、学力もバラバラ。それでもうまくいっている一因は、彼女が分け隔てなく接しているからだが、そんな一見平和そうな学校に盗難事件が頻発し暗雲が立ち込める。カーラのクラスの生徒に疑いがかけられ、「不寛容方式」の教育を掲げる校長らは、あろうことかほかの生徒に「密告」を強要するような態度に出る。生徒の潔白を信じるカーラは真相を突き止めようとある行動に出るが、それが思わぬ波紋を広げてゆく。 ■ONEPOINT REVIEW■ 「不寛容方式」を掲げる学校は大金を持っていた生徒を疑い、あるいはほかの生徒たちに密告を迫ったりする。校長らのそんな態度を見て頭にカーっと血が上ったカーラ先生は正義感がひとり歩きし、客観的に見ればこれまた人権問題になりかねない行動をとってしまうのだが、そのことに気づいてもあとの祭り。大ごととなり収拾がつかなくなってゆくなか、ひと筋の光が差し込むようなエンディングが観客のざわついた心を鎮めてくれる。 監督/共同脚本:イルケル・チャタク 共同脚本:ヨハネス・ドゥンカー 出演:レオニー・ベネシュ/レオナルト・シュテットニッシュ/エーファ・レーバウ/ミヒャエル・クラマー/ラファエル・シュタホヴィアク 2022年ドイツ(99分) 原題:DAS LEHRERZIMMER(THE TEACHER'S LOUNGE) 配給:アルバトロス・フィルム 公式サイト:https://arifureta-kyositsu.com/ © if… Productions/ZDF/arte MMXXII |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年5月10日(金)から新宿シネマカリテほか全国公開 |
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■デンマーク人の夫婦と幼い娘一家。イタリア休暇中に出会ったオランダ人夫婦と意気投合し、招待されるままに人里離れた一軒家で過ごすのだが…。独特の音楽的スタイル、視覚的美意識が見られる北欧ホラー。スザンネ・ビア監督の『アフター・ウェディング』などに出演してきた俳優にして、監督としてはこれが長編3作目になるクリスチャン・タフドルップの本邦初登場監督作。 ■SYNOPSIS■ 幼い娘をつれて訪れたイタリアでのバカンス中にデンマーク人夫婦のビャアンとルイーセは、医師だというパトリックとその妻カリンのオランダ人夫婦と出会い、同じ年ごろの子どもを持つ同世代として、またパトリックの陽気でざっくばらんな性格にも惹きつけられて意気投合する。やがて日常に戻ったある日、パトリック夫妻から遊びに来ませんかという招待状が届く。週末の短期間、断る理由もなく訪れたそこは人里離れた一軒家で、着いたその日から不愉快なことがつぎつぎと起こる。 ■ONEPOINT REVIEW■ 不愉快なことや不気味なことがあってもじっと耐えるデンマーク人夫妻。これは実際にタフドルップ監督の身に起きたことがベースにあって、じっと耐える自分自身を揶揄しているようにも見えるが、それが強調されてやがてホラー・サスペンスとなってゆく。そして怖いことがまだ起こっていないのに恐怖心を誘う音楽、さらに美的センスいっぱいのラストシーン。独特の感性がただよう。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年5月6日 記 監督/共同脚本:クリスチャン・タフドルップ 共同脚本:マッズ・タフドルップ 出演:モルテン・ブリアン/スィセル・スィーム・コク/フェジャ・ファン・フェット、カリーナ・スムルダース 2022年デンマーク=オランダ(97分) 英題:SPEAK MO EVIL 映倫:PG-12 配給:シンカ 公式サイト:sundae-films.com/muna-sawagi © 2021 Profile Pictures & OAK Motion Pictures |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年4月26日(金)から Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下/下北沢・シモキタ-エキマエ-シネマK2ほか全国順次公開 |
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■高原の田舎町にひとり娘と暮らす男性。ある日、グランピング場をつくる計画がもち上がり、町民たちは動揺し説明会は紛糾する。映画では開発者対住民という対立構図からしだいに視点を移し、デベロッパー側の社員の心情も浮き彫りにしてゆく。カンヌ国際映画祭脚本賞受賞の『ドライブ・マイ・カー』で濱口竜介監督と協働したミュージシャン石橋英子との共同企画で、今回も石橋が音楽を担当。ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリを受賞。 ■SYNOPSIS■ 長野の自然豊かな町に代々暮らす巧(大美賀均)は、ひとり娘の花(西川玲)とふたり暮らし。都会から移住してくる人たちに生活や仕事のアドバイスをしながら、薪を割り小川の湧水を汲み、慎ましやかだが自然に溶け込んだ暮らしを実践している。玉にキズは下校する娘の迎えをしょっちゅう忘れること。ある日、いまはやりのグランピング場の建設がもち上がり、東京からふたりの社員がやってくる。芸能事務所によるコロナ禍で得た補助金を使っての計画だった。ずさんさが露呈して説明会は紛糾、もの別れに終わる。一方、巧の迎えを待ちきれずひとり下校した花が行方不明になる。 ■ONEPOINT REVIEW■ デベロッパーVS住民の対立というシンプルな構造ではなかった。開発の担当責任者として派遣され、住民たちのつるし上げ寸前になる社員ふたりもまた、仕事や生き方にゆきづまりを感じている。さらに主人公の巧も地に足の着いた生活を送っているよう見えて、じつは心ここに在らずなのではないか。それが幻想的なエンディングにつながっていくように見える。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年4月20日 記 監督/脚本/共同企画:濱口竜介 音楽/共同企画:石橋英子 出演:大美賀均/西川玲 小坂竜士/渋谷采郁/菊池葉月/三浦博之/鳥井雄人 山村崇子/長尾卓磨/宮田佳典 田村泰二郎 2023年日本(106分) 配給:Incline 配給協力:コピアポア・フィルム 公式サイト:https://aku.incline.life/ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年4月27日(土)から渋谷・シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 |
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Hartwig, Weydemann Bros. GmbH, Oma Inge Film UG (haftungsbeschränkt), ZDF |
■ふとしたことですぐに切れてしまい、あらゆる施設を転々とする少女。その暴力はだれにも止められず、ママのいる家に帰りたいというささやかな願いもかなわない。〝システム・クラッシャー(組織破壊)〟の幼い少女と彼女をケアする周囲の切ない思いを、切れ味鋭く描いた人間ドラマ。ノラ・フィングシャイト監督が5年におよぶリサーチ等を経て書いたオリジナル脚本で、長編映画デビューにしてベルリン国際映画祭銀熊賞ほかを受賞した注目作。 ■SYNOPSIS■ ブロンドヘアの可愛らしいベニー(ヘレナ・ツェンゲル)は、キャンディが似合う一見ごくふつうの9歳の少女。けれどちょっとしたことで切れやすく、いったん怒りに火がつくとそのすさまじい破壊力はだれの手にも負えない問題児だ。シングルマザーのビアンカ(リザ・ハーグマイスター)から行政の手にわたり、里親やグループホーム、特別支援学校とさまざまな手を講じてきたがいずれも失敗。社会福祉課のバファネ(ガブリエラ=マリア・シュマイデ)は懸命に受け入れ先を探すものの、いまは閉鎖病棟、精神病院、アフリカでの集中体験プログラムといった〝最終手段〟を話し合う段階まできている。そんなとき、通学付添人のミヒャ(アルブレヒト・シュッフ)が、暴力に走る少年たちと向き合ってきた過去の経験から、水も電気もない森で3週間、1対1で対峙してみたいと提案する。 ■ONEPOINT REVIEW■ 映画の舞台となっているドイツは、明らかに福祉行政が日本に比べて手厚そうだ。それだけに最終手段に慎重になるというジレンマもある。9歳の小さな子どもを閉鎖病棟や精神病院のような隔離施設に入れていいのか。ではどうするのか。行きどまりを行ったり来たり、思考がぐるぐる巡り着地点が見えないなか、フィングシャイト監督はとてもパンクなエンディングを用意した。ニーナ・シモンの歌「A'int Got No/I Got Life」とともに。(NORIKO YAMASHITA) 2024年4月19日 記 監督/脚本:ノラ・フィングシャイト 出演:ヘレナ・ツェンゲル/アルブレヒト・シュッフ/リザ・ハーグマイスター/ガブリエラ=マリア・シュマイデ 2019年ドイツ(125分) 原題:SYSTEMSPRENGER(SYSTEM CRASHER) 配給:クレプスキュール フィルム 公式サイト:http://crasher.crepuscule-films.com |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年4月19日(金)からシネマート新宿/渋谷シネクイントほか全国順次公開 |
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■隣人の少年を火災から救い出して以来、たびたびパニック障害を起こすゲームデザイナーの青年。その原因は?そして彼が密かにデッサンしてつくりあげた〝もの〟とは。ひとが抱えるアンモラルな心の闇に迫った人間ドラマ。『マジカル・ガール』のスペインの気鋭カルロス・ベルムト監督によるオリジナル脚本。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
2024年4月19日(金)から日比谷・TOHOシネマズ シャンテ/渋谷シネクイントほか全国公開 |
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■幼いころに両親を失い、喪失感を抱えたままおとなになった男性。ある日、訪れたふるさとの町で若き日の両親と出会い交流するようになる。一方、高層マンションに暮らす彼はそこに住むひとりの青年と知り合い親しくなってゆく。『異人たちの夏』として大林宣彦監督で映画化された山田太一の原作を、『さざなみ』や『荒野にて』のイギリスの監督アンドリュー・ヘイがみずから脚本を書いて映画化。まったく違ったテイストの作品としてよみがえらせている。 ■SYNOPSIS■ ロンドンのタワーマンションに単身で暮らすアダム(アンドリュー・スコット)は40代の脚本家。両親を12歳のときに交通事故でなくして以来、孤独な日々を送っているが、ある日、同じマンションに住むハリー(ポール・メスカル)と名乗る見知らぬ青年がウィスキーを抱え一緒に飲もうと誘いに来る。戸惑いやんわりと断るアダム。彼が目下取り組んでいるのは両親との思い出を織り込んだ作品だが一向に筆が進まない。そんななか子ども時代を過ごした郊外の町を訪れ、そこで出会ったひとりの男性に導かれるままについてゆくと彼は父親(ジェイミー・ベル)で、懐かしい家にはむかしのままの母(クレア・フォイ)も暮らしていた。 ■ONEPOINT REVIEW■ 両親(幽霊)との〝蜜月〟と並行して描かれる恋愛が男女から男×男へと変えらたことにより、セクシャリティというテーマをはらむ作品に生まれ変わっている。加えて新旧、米日作品のテイストがまったく異なるのは、もとよりスタッフ、キャストの持ち味の違いが大きく、大林宣彦が大いに泣かせる作品をつくったのに対し、アンドリュー・ヒル版はシリアス感が濃厚。昨年冬に亡くなった原作の山田太一が観ていたなら、リメイク版にどんな感想を抱いただろうか。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年4月10日 記 監督/脚本:アンドリュー・ヘイ 原作:山田太一「異人たちとの夏」(新潮文庫) 出演:アンドリュー・スコット/ポール・メスカル/ジェイミー・ベル/クレア・フォイ 2023年イギリス=アメリカ(105分) 映倫:R15+ 原題:ALL OF US STRANGERS 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/allofusstrangers |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『パスト ライブス/再会』 PAST LIVES |
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■おなじ小学校に通い初恋の相手として想いを寄せあう少女と少年。家庭の都合で離ればなれとなり別々の人生を生きるも、24年後にニューヨークで再会する。自伝的ラブストーリーをセリーヌ・ソン自身が描いた監督第一作。アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞など海外映画祭でも評判となった米=韓合作作品。 ■SYNOPSIS■ 韓国ソウルの小学校に通う少女ナヨンと少年へソン12歳。ふたりは成績を競いあう良きライバルであり大親友、そしてなにより初恋の相手だったが、ナヨンがカナダに移住することになりふたりの絆は切断される。12年後、親元を離れてニューヨークに移住したナヨンは作家としてスタートし、一方のへソンは大学卒業後に兵役を経て就職する。へソンがSNSを駆使してナヨンを探し出したことからふたりはオンラインで奇跡的に再会。さらに12年後、久々にナヨンとコンタクトをとったへソンは彼女が結婚しているのを知りながらニューヨーク行きを決断する。 ■ONEPOINT REVIEW■ ニューヨークにひとり渡り、作家仲間の米国人と結婚し、アメリカで活動するために必要なグリーンカードも取得するナヨン。その日常はおそらく濃厚で緊張感もあって、韓国からロマンチックに想いを寄せるへソンの気持ちとは若干温度差があったかもしれない。だが実際に再会してその差は一気に縮まる。平静を装いながらもふたりの再会を恐れていただろう米国人夫の気持ちも痛いほど伝わる。いろんな切ないが伝わってくるラブストーリーの秀作。 (NORIKO YAMASHITA) 2024年4月1日 記 監督/脚本:セリーヌ・ソン 出演:グレタ・リー/ユ・テオ/ジョン・マガロ 2023年アメリカ=韓国(106分) 原題:PAST LIVES 配給:ハピネットファントム・スタジオ 公式サイト:https://happinet-phantom.com/pastlives 公式X:@pastlives_jp © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ゴッドランド/GODLAND』 GODLAND |
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■19世紀後半、植民地アイスランドの辺境の地に教会を建てるという使命を負った若きデンマーク人牧師が、写真機材を馬に乗せ、撮影をしながら過酷な旅をつづける人間ドラマ。監督はアイスランド出身で、映画祭をのぞいては本邦初登場のフリーヌル・パルマソン。第96回アカデミー賞国際長編映画賞アイスランド代表作。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『12日の殺人』 LA NUIT DU 12(THE NIGHT OF THE 12TH) |
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- Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma |
■ある夜、帰宅途中の若い女性がガソリンをかけられうえに火をつけられて焼殺される。捜査チームが結成され容疑者が次々浮かび上がるも、決定打には至らない。実際に起きた未解決事件を、ポリーヌ・ゲナの原作をもとに映画化したのは、『ハリー、見知らぬ友人』などミステリー作品を得意とするベテランのドミニク・モル監督。長年コンビを組んできたジル・マルシャンと今回も共同で脚本を書いている。地元フランスのセザール賞で6冠受賞。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『水平線』 SUIHEISEN |
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■震災で妻を失くし散骨業を営む男とその娘。持ち込まれた遺骨が訳ありだったことから周囲の冷たい視線を浴び、娘との関係もギクシャクとしてくる。俳優の小林且弥による長編監督第一作で、脚本家で監督でもある斉藤孝の書き下ろしオリジナル。主役をピエール瀧が演じている。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『落下の解剖学』 ANATOMIE D'UNE CHUTE(ANATOMY OF A FALL) |
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Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma |
■山荘で暮らす家族を襲ったアクシデント。落下し死亡した夫は、事故死だったのか他殺だったのかあるいは自殺だったのか。夫婦仲を疑われるなか人気作家の妻が被疑者として浮上し、世間をさわがせる裁判にまで発展してゆく。ジュスティーヌ・トリエ監督の長編4作目で、2023年のカンヌ映画祭最高賞パルムドールを受賞。ことしのアカデミー賞でも作品賞、監督賞、主演女優賞など5部門でノミネートされている(3月11日発表)。主演は『ありがとう、トニ・エルドマン』のドイツ人俳優ザンドラ・ヒュラー。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ファイアバード』 FIREBIRD |
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■1970年代後半、ソ連占領下のエストニアの空軍基地を舞台に、役者志望の二等兵とパイロット将校の禁断の恋を描いたラブストーリー。原作者セルゲイ・フェティソワの実話物語で脚本づくりにも参加したが、完成前に急逝した。監督はエストニア出身で英オックスフォード大や米ハーバード大、カリフォルニア大などで学んだのちに、ミュージックビデオなどを制作してきたぺーテル・レバネ。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『瞳をとじて』 CERRAR LOS OJOS(CLOSE YOUR EYES) |
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■撮影中に主演俳優が失踪し迷宮入りとなった事件を、20余年後にTV番組が追跡。その映画の監督で俳優の親友でもあった男が証言者として番組に呼ばれ、ともに過ごした青春時代や自身の過去を振り返るなかで事件に迫るミステリータッチのヒューマンドラマ。『ミツバチのささやき』(1973年)のスペインの名匠ヴィクトリア・エリセ監督が『マルメロの陽光』以来31年ぶりに発表した長編映画。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ダム・マネー ウォール街を狙え!』 DUMB MONEY |
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All rights reserved. |
■ひとりの男の呼びかけが、米金融界を牛耳るウォール街を震撼させることになった「ボロ株」値上がり騒動。コロナ禍に実際に起こり裁判沙汰にまで発展した事件の顛末を描いたエンタメタッチの社会派ドラマ。映画『ソーシャル・ネットワーク』などの原作者ベン・メズリックのノンフィクションを、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』のクレイグ・ギレスピー監督で映画化。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『哀れなるものたち』 POOR THINGS |
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■とある科学者にひろわれたひとりの女性の命が、再生されあらたな命へと生まれ変わる。SFチックな発想をベースに、壮大な物語へと展開してゆく人間ドラマ。アラスター・グレイの同名小説を、ギリシャ出身で『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモスで映画化。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ミツバチと私』 20,000 SPECIES OF BEES |
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■夏のバカンスを故郷で過ごす母と子どもたち。男の子として生まれた末っ子アイトールは女の子として生きたいと思っているがかなわず、心を閉ざしがち。そんなデリケートな心を持つ幼い子と、彼をとりまく親族たちを描いた人間ドラマ。アイトールを演じたソフィア・オテロは初演技の本作でベルリン映画祭最優秀主演俳優賞を受賞。長編第一作のエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督も同映画祭銀熊賞受賞。 |
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ロードショー ROADSHOW 2023 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『PERFECT DAYS』 PERFECT DAYS |
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■公共トイレの清掃員として働き、規則正しい日々を黙々と生きるひとり住まいの中年男性。『ベルリン天使の詩』のドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督が、東京渋谷と下町押上周辺を舞台に撮った人間ドラマ。主役の役所広司が第76回カンヌ国際映画祭男優賞を受賞。実際に展開されてきたTOKYO TOILETプレジェクトとの連携作品。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『きっと、それは愛じゃない』 WHAT’S LOVE GOT TO DO WITH IT? |
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■異文化であるパキスタンからの移民が多い英国ロンドン周辺を舞台に、家が隣同士の幼なじみふたり、英国人の白人女性とパキスタン系の男性の恋の行方を追ったラブコメディ。監督は『エリザベス』(1998年)のパキスタン系ベテラン監督シェカール・カプール。脚本はパキスタンの前首相イムラン・カーンと結婚歴のある英国出身のジェミマ・カーン。ふたりの出自経歴が生かされた作品になっていて、主役は『ダウントンアビー』(TV)や『シンデレラ』(2015年)のリリー・ジェームズ。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ポトフ 美食家と料理人』 LA PASSION DE DODIN BOUFFANT(THE TASTE OF THINGS) |
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■19世紀後半のフランス。当代髄一の美食家の男性と、彼が生み出した料理の数々を調理し具現化してゆく女性。食に打ち込み人生を捧げるふたりの同志的友情と愛を描いた人間ドラマ。ガストロノミー(美食学)の代名詞的存在で「美味礼賛」の著者、ブリア=サヴァランをモデルにしたとされるマルセル・ルーフ作「美食家ドダン・ブーファンの生涯と情熱」をベースに、『青いパパイアの香り』のトラン・アン・ユン監督が映画化。第76回カンヌ国際映画祭の監督賞を受賞している。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『VORTEX ヴォルテックス』 VORTEX |
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■代表作『アレックス』をはじめ暴力やセックスの過激な表現で独自の世界観を貫いてきたギャスパー・ノエ監督。ときに過激度が激しすぎて、なにが描かれているのか分からないほどモザイクがかかった作品もあった。そのノエ監督の新境地と言っていいのか、新作は老夫婦の死を正面から描いていて全体が黒枠に囲まれている。まさにあの世に片足を突っ込んだような、ほかに比べようのない作品になっている。老人夫婦の夫役は『サスペリア』のイタリアの著名監督ダリオ・アルジェント、そして『ママと娼婦』のフランス人俳優フランソワーズ・ルブランが妻を演じている。黒枠だけではなく2分割のスプリット画面で進められてゆく。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『マイ・ファミリー~自閉症の僕のひとり立ち』(ドキュメンタリー) |
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■長年実家の離れで〝半分だけ自立〟して生活してきた42歳の自閉症の男性。だが両親も高齢になり、〝完全なる自立〟を目指し奮闘するその様子を、8年間にわたって追ったドキュメンタリー。監督は一家と25年以上の交流があり、3人の関係を撮り続けてきたモニーク・ノルテ監督。前作『ケースのためにできること』は本国オランダで延べ450万人が見た国民的作品となり、主人公のケースは有名人でもある。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『正欲』 seiyoku |
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■正常な欲望<正欲>とはなにか。ふつうとは?多様性とは?法の番人として正義感にあふれる一方で、息子の不登校に不寛容で妻とも分かり合えない検事の男性と、多くのひととは違う性的指向を抱えながら社会と折り合いをつけて生きている女性。そのふたりを軸に5人の人物の人生が交差して描かれる人間ドラマ。朝井リョウのベストセラー小説を、『あゝ、荒野』の岸善幸監督、『MOTHER マザー』の港岳彦の脚本で映画化。 ■SYNOPSIS■ 妻と息子の3人家族の寺井啓喜(稲垣吾郎)は地方検察庁の検事。ある日、息子の泰希から憧れのユーチューバーのように、学校に行かずに動画配信をしてみたいと相談されるも、理詰めで一蹴する。そんな啓喜が現在扱っている案件は奇妙なものだったが、世の中には異常性愛のひとって多いみたいですよ、と事務官から聞かされる。一方、ショッピングモールに勤めながら両親と広島に暮らす桐生夏月(新垣結衣)は、退屈な日々を送っていた。世の人々のように結婚願望がない。そんな彼女には中学時代、横浜へ転校していった佐々木佳道(磯村勇斗)との忘れがたい思い出のシーンがあった。その佳道が15年ぶりに広島に戻ってくるという。 ■ONEPOINT REVIEW■ サドマゾ、フェティシズム…ひととは少し違ったセクシャリティは、これまでも興味本位あるいは文学的な扱いで描かれてきた。朝井リョウが取り上げたのも、ただ隠れていただけあるいは隠されていただけで、むかしから存在したもの、かもしれない。けれど同じ嗜好を持つひとがつながることによって、新たな家族の形が生まれる可能性もある。そんな暗示が寺井啓喜の一家とは対照的に描かれている。 監督:岸善幸 脚本:港岳彦 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『パトリシア・ハイスミスに恋して』(ドキュメンタリー)LOVING HIGHSMITH |
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中© EllenRifkinHill_CourtesySwissSocialArchives |
■ヒッチコック監督『見知らぬ乗客』、アラン・ドロン主演『太陽がいっぱい』,ヴェンダース監督『アメリカの友人』など映画の原作者としても広く愛されたパトリシア・ハイスミスを追ったドキュメンタリー。自身の体験から創作された「キャロル」は大ベストセラーとなったが、同性愛を扱った作品ゆえにクレア・モーガン名義で発表せざるを得なかった当時の状況を含め、その私生活に踏み込んだ作品になっている。監督はハイスミスが晩年暮らしたスイス出身のエヴァ・ヴィティヤ。これが長編ドキュメンタリー2作目となる。 ■SYNOPSIS■ パトリシア・ハイスミスは1921年1月19日、米テキサス州フォートワースの生まれ。誕生するわずか9日前に両親は離婚。中絶も考えられていた望まれない子だった。すぐに母親はニューヨークに移り、ハイスミスは6歳まで祖母のもとで育てられる。やがてニューヨークの母に引き取られるも愛されることはなく、10代半ばには同性愛を疑われ、ボーイフレンドをあてがわれるという嫌な経験もした。その後作家としての才能が開花し、長編1作目の「見知らぬ乗客」(1950年)が早々にアルフレッド・ヒッチコック監督によって映画化されるが、それ以前に書かれていたのがレズビアン小説の「キャロル」だった。同作品は60余年のときを経て2015年にトッド・ヘインズ監督によって映画化された。 ■ONEPOINT REVIEW■ 2021年に生誕100年を迎えたのを契機に日記とノートが出版されたというが、ヴィティヤ監督がスイス文学資料館に通い日記等を読んだのはおそらく出版前のことだろう。資料を読みすすめるなかでドキュメンタリーの方向性が固まっていったにちがいない。作家としての成功の陰に隠れていた私生活。アンダーグラウンドの世界で輝いていたハイスミスの華やかな恋愛事情が明かされてゆく。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『理想郷』 AS BESTAS(THE BEAST) |
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■理想郷をもとめて美しい山間の村に移住してきた都会育ちの夫婦。しかし開発をめぐり地元の兄弟と対立し、しだいに険悪な様相を深めてゆくサスペンスタッチの人間ドラマ。メガホンは『おもかげ』のスペインの監督ロドリゴ・ソロゴイェン。『ジュリアン』や『苦い涙』のドゥ二・メノーシェと、『私は確信する』『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』のマリナ・フォイスという名優ふたりが夫婦を演じている。昨年の東京国際映画祭でグランプリ、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞の3冠を受賞。 ■SYNOPSIS■ 村の酒場で〝フランス野郎〟とからまれるアントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)。2年前にフランスの都会からスペインの緑豊かな山岳地帯ガリシア地方の寒村に妻のオルガ(マリナ・フォイス)と移住してきたが、どう見ても村に溶け込んでいるとは言い難かった。とくに新参者の夫妻に対し敵意をもってバリアを張るのは、隣家のシャロンとロレンソ兄弟。対立のきっかけは風力発電の開発計画で、貧困に苦しむシャロンらは一時金欲しさに賛成に回ったが、アントワーヌら反対票のせいで開発はとん挫しかかっていた。 ■ONEPOINT REVIEW■ 1997年にスペインで実際に起きた現地では有名な事件を、オランダ人夫婦からフランス人夫婦に置き換えて描いているが、ここにはいろんな問題が潜んでいる。閉鎖された村社会と都会のインテリ夫婦、そのうえスペイン人とフランス人では気質もちがうことだろう。そして慢性的な貧困。そこに開発という思いがけないチャンスがめぐってくるが、2年前に越してきた都会人がここは自分たちの故郷と言って開発に反対したなら、それもまたひとつのエゴにちがいない。いちばん面白いのは終盤に事件が起きて、主人公がアントワーヌから妻のオルガへと移るところ。みごとな構成になっている。(NORIKO YAMASHITA) 2023年11月2日 記 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『SISU/シス 不死身の男』 SISU |
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■ツルハシ一丁でメッタ切り! 大戦末期のフィンランドを舞台に、侵攻しわがもの顔で庶民から略奪し凌辱するソ連およびナチス・ドイツの軍隊に対し、ひとり立ち向かう伝説の老兵を描いた超ド級バイオレンス・アクション。監督はCMなどで活躍し、『レア・エクスポーツ~囚われの サンタロ-ス~』ほかの長編映画作品がある地元フィンランド出身のヤルマリ・ヘランダー。ヘランダ―監督の長年の相棒で『…囚われの サンタロ-ス~』でも主役を務めていたヨルマ・トンミラが不屈の男を演じている。 監督/脚本:ヤルマリ・ヘランダー |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?』 LA SYNDICALISTE |
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■陰惨なレイプの被害者か、それとも自作自演の犯罪者か。中国への原子力技術移転をめぐる内部告発に端を発した労組トップ襲撃事件。フランスで実際に起きて世間をにぎわせた事件を、当事者モーリーン・カーニーにフォーカスして描いたサスペンスタッチの社会派ドラマ。イザベル・ユペールがモーリーン役を演じ、『ゴッドマザー』で協働したジャン=ポール・サロメ監督がメガホンを取っている。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『シック・オブ・マイセルフ』 SICK OF MYSELF |
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■成功しつつある恋人に対する対抗心と嫉妬心がむき出しとなり、とんでもない手段で世間の注目を集めようとする若い女性を描いたホラーチックなドラマ。本邦初登場、30歳代後半のノルウェーの新鋭クリストファー・ボルグリ監督が、スノッブ志向の強い若いカップルをスタイリッシュかつシニカルに描き出してゆく。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ヨーロッパ新世紀』 R.N.M |
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■パルムドールを受賞した『4ヶ月、3週と2日』や『汚れなき祈り』などでカンヌ映画祭の常連となったクリスティアン・ムンジウ監督の新作は、祖国ルーマニアの村社会を舞台にした人間ドラマ。出稼ぎ先のドイツで差別的な言葉を受け故郷に舞い戻る男、外国人労働者の雇用に抵抗する村人たちの様子などが群集劇風に描かれてゆく。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ヒッチコックの映画術』 MY NAME IS ALFRED HITCHCOCK |
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■自作著書を映画化した『ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行』で、ひと味違う切り口による映画史を展開してみせたドキュメンタリー作家のマーク・カズンズ。今回彼が取り上げたのはスリラー/サスペンス映画の大御所アルフレッド・ヒッチコック監督。映画黎明期から数々の作品のなかで築いてきた独自の映画テクニックを、(死んだはずの)彼自身が解説してゆくという遊び心いっぱいのドキュメンタリー。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ルー、パリで生まれた猫』 MON CHAT ET MOI, LA GRANDE AVENTURE DE RROU |
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■パリの瀟洒なアパルトマンに両親と暮らす10歳の少女と、その屋根裏部屋で生まれすぐに母親と離ればなれになった子猫。両親の不仲で孤独を抱える少女の心を癒してくれる子猫は、夏のバカンスで訪れた別荘の森で野性に目覚めてゆく。『アイロ〜北欧ラップランドの小さなトナカイ〜』のギヨーム・メダチェフスキがモーリス・ジュヌヴォワの原作を現代パリに置き換え、瑞々しく描いている。
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)』 GODARD SEUL LE CINEMA |
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■ヌーヴェルヴァーグの立役者ジャン=リュック・ゴダール監督は2022年9月、尊厳死という形で91歳の生涯を閉じた。存命中に完成し、亡くなる少し前にヴェネチア国際映画祭でお披露目されたのが本ドキュメンタリー。生い立ちからスイス移住後の晩年まで、代表作や記録映像、ゆかりの人物へのインタビューなど4章でゴダール像に迫っている。監督は歌手バルバラのドキュメンタリーなどを手がけてきたシリル・ルティ。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ロスト・キング 500年越しの運命』 THE LOST KING 2023年9月22日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開 |
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■すでに散逸したとされ500年間行方不明だったイングランド王リチャード三世の遺骨を探し当てたのは、名もない子持ちの女性だった!英国で10年ほど前に世間を騒がせたおどろきの実話を、ファンタジーも交えて描いたヒューマンドラマ。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『燃えあがる女性記者たち』 WRITING WITH FIRE 2023年9月16日(土)から渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開 |
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■インドでいまもあたり前に受けつがれている階級制度カーストの、枠組みの中にさえ入らない最下層の女性たちで立ち上げられた新聞社「カバル・ラハリヤ」が誕生して10年ほど。紙媒体からインターネット・メディアへと形を変えながら、勇気ある行動をつづけてきた女性記者たちの仕事ぶりや日常に迫るドキュメンタリー。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ダンサー イン Paris』 EN CORPS 2023年9月15日(金)から ヒューマントラストシネマ有楽町/Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下/シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開 |
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© 2022 / CE QUI ME MEUT MOTION PICTURE - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA Photo : EMMANUELLE JACOBSON-ROQUES |
■エトワールへの夢なかばで足をけがし、立ち止まったときにコンテンポラリー・ダンスの魅力と出合ったクラシックバレエ・ダンサーの女性が、新たな選択肢も視野に入れながら進路を見つめ直してゆく。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『6月0日 アイヒマンが処刑された日」 JUNE ZERO 2023年9月8日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開 |
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■ユダヤ人の大量虐殺(ホロコースト)に関わった悪名高きナチス戦犯アイヒマン。裁判で死刑が確定後、イスラエルで秘密裏に行われた処刑とその遺体をめぐり、虚実ないまぜにしながら説得力のある作品に仕立てたのはハリウッド俳優グウィネス・パルトロウを姉に持つ芸能一家のジェイク・パルトロウ監督。知らぬ間に一大事に巻き込まれてゆく少年の物語を軸に、3つの話で紡がれる。ヘブライ語とスーパー16mmフィルムを使ったこだわりの作品。 監督/共同脚本:ジェイク・パルトロウ 共同脚本:トム・ショヴァル |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『バカ塗りの娘」 BAKANURINOMUSUME 2023年9月1日(金)からシネスイッチ銀座ほか全国公開/8月25日(金)から青森県先行公開 |
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■祖父の代からつづく名工ながら、廃れる一方の津軽塗職人の家を舞台に、密かに津軽塗にあこがれる娘と寡黙な父親。それぞれの葛藤と家族の絆をさわやかなタッチで描いた人間ドラマ。高森美由紀作「ジャパン・ディグニティ」を『まく子』の鶴岡慧子監督で映画化。
監督/共同脚本:鶴岡慧子 共同脚本:小嶋健作 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ウェルカム トゥ ダリ」 DALILAND 2023年9月1日(金)から ヒューマントラストシネマ有楽町/新宿武蔵野館/YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開 |
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■ショッキングな内容が物議を醸した『アメリカン・サイコ』に加え、アンディ・ウォーホルやチャーリー・マンソンを取り上げて独自の世界観を築いてきたメアリー・ハロン監督。新作の題材となったのは、奇をてらった行動で話題に事欠かなかったシュールレアリズムの画家サルバドール・ダリ。70年代ニューヨーク。妻のガラとともに高級ホテルに住み、パーティー三昧のダリは一向に筆が進まない。そんな彼のもとに画廊からひとりの美形青年が送り込まれる。 監督:メアリー・ハロン 脚本:ジョン・C・ウォルシュ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ファルコン・レイク』 FALCON LAKE 2023年8月25日(金)から渋谷シネクイントほか全国順次公開 |
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■家族で過ごすことになった異国の避暑地で、久しぶりに再会した年上の少女と接し、はじめて女性への憧れを抱く思春期の少年。フランスのバンド・デシネ(漫画の一ジャンル)を原作に、フランスを拠点に俳優として活躍するカナダ出身のシャルロット・ル・ボンが監督として手がけた長編第一作。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『エリザベート1878』 CORSAGE 2023年8月25日(金)からTOHOシネマズシャンテ/Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国順次公開 |
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■欧州宮廷一の美貌と謳われたオーストリア(兼ハンガリー)皇妃エリザベートの中年の一時期を描いた歴史ドラマ。史実をもとにしながら大きく翻案し、ミステリアスな展開をもたらすのはオーストリア出身、本邦初登場のマリー・クロイツァー監督。また『ファントム・スレッド』以降『彼女のいない部屋』など話題作が連なるヴィッキー・クリープスがエリザベートの物語を提案し、主演と製作総指揮をつとめている。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ふたりのマエストロ』 MAESTRO(S) 2023年8月18日(金)から ヒューマントラストシネマ有楽町/Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下/シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開 |
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■栄光を築いてきた父親と飛ぶ鳥落とす勢いのいまが旬の息子。ふとした手違いからスカラ・ミラノ座総監督就任のトラブルに巻き込まれる親子二代、ふたりの名指揮者を描いた音楽ドラマ。監督はコメディ『バルニーのちょっとした心配事』のブリュノ・シッシュ。息子指揮者役は監督としても活躍するイヴァン・アタル。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』 QT8: THE FIRST EIGHT 2023年8月11日(金・祝)からヒューマントラストシネマ渋谷/新宿シネマカリテほか全国公開 |
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■超個性派にして人気の米国人監督、クエンティン・タランティーノにフォーカスした初の本格ドキュメンタリー。本邦初登場の女性監督タラ・ウッドは、タランティーノのデビュー作『レザボア・ドッグス』から8作目『ヘイトフル・エイト』までに出演したゆかりの俳優やプロデューサーらにインタビュー。撮影秘話やエピソードを通してタランティーノの映画づくりの秘密に迫る。ちなみに9作目は本作と同年の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、10作目の次回作で監督をやめると伝えられている。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ジェーンとシャルロット』 JANE PAR SHARLOTTE(JANE BY SHARLOTTE) 2023年8月4日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/渋谷シネクイントほか全国順次公開 |
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■女優のシャルロット・ゲンズブールが母で女優、歌手のジェーン・バーキンを撮ったドキュメンタリー。シャルロットにとっては初の映画監督作品だが、本邦公開の少し前の2023年7月16日にバーキンが急逝。最晩年を知る最後の作品となった。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』 SCHACHNOVELL(CHESS STORY/THE ROYAL GAME) 2023年7月21日(金)からシネマート新宿ほか全国順次公開 |
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■ドイツに併合されて政局が一変する大戦中のオーストリア。貴族たちの莫大な資産を管理をしていたことから連行され精神的な拷問を受ける公証人の男が、偶然手に入れたチェスの本をよりどころに生き抜くさまを、男の幻想をまじえてミステリアスに描いた人間ドラマ。反骨のドイツの文豪シュテファン・ツヴァイクの代表作を『アイガー北壁』ほかのフィリップ・シュテルツェル監督で映画化。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『CLOSE/クロース』 CLOSE 2023年7月14日(金)から全国公開 |
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■兄弟のように育てられ、一緒に寝泊まりも当たり前の仲のいい少年ふたり。だが中学進学をきっかけに周囲の少年少女たちの好奇の目にさらされ、ふたりの関係が大きく変わってゆく。バレエダンサーを目指すトランスジェンダーの子を描いた『Girl/ガール』で注目されたベルギー出身、ルーカス・ドン監督の長編2作目。レオ役の少年は監督にスカウトされてオーディションに臨み、レミ役の少年もオーディションでキャスティングされた。第75回カンヌ映画祭グランプリ受賞作。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『アイスクリームフィーバー』 ICE CREAM FEVER 2023年7月14日(金)からTOHOシネマズ シャンテ/渋谷シネクイントほか全国公開 |
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■定まらない人生の進路、姉妹間の恋愛のトラブル…。さまざまな悩みを抱える世代の異なる女性たちのいまを描いたアンサンブル・ドラマ。広告業界で活躍するアートディレクター千原徹也の映画初監督作品で、原案のひとり、作家の川上未映子らのアドバイスを得ながら、軽やかにポップにときに詩的に描いてゆく。 監督:千原徹也 脚本:清水匡 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『遺灰は語る』 LEONORA ADDIO 2023年6月23日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿武蔵野館ほか全国順次公開 |
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■イタリアを代表する作家ルイジ・ピランデッロの遺灰が故郷シチリアに戻るまでの多難な歳月を、ユーモアも交えて描いたドラマ。パオロ・タヴィアーニ監督は、長年コンビを組んで名作を送り出してきた兄のヴィットリオ・タヴィアーニを2018年に亡くし、これが初めての単独作品となる。遺灰の主ピランデッロは、ふたりの代表作のひとつ「カオス・シチリア物語」の原作者でもある。 監督/脚本:パオロ・タヴィアーニ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『カード・カウンター』 THE CARD COUNTER 2023年6月16日(金)からヒューマントラストシネマ渋谷/シネマート新宿ほか全国順次公開 |
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■捕虜収容所での罪をつぐないいまはギャンブラーとして生きる男が、同じ罪の父親を持つ若者と出会ったことから過去とふたたび対峙し、事件に巻き込まれてゆくサスペンスタッチの人間ドラマ。1970年代半ばに『タクシードライバー』の脚本家としてマーティン・スコセッシ監督と組んで脚光を浴びたポール・シュレイダー監督。ここでは監督と脚本を務め、スコセッシが制作総指揮に名を連ねている。主演は『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』で注目されたオスカー・アイザック。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『青いカフタンの仕立て屋』 THE BLUE CAFTAN 2023年6月16日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿武蔵野館ほか全国公開 |
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■トルコの伝統衣装〝カフタン〟の小さな仕立て屋を舞台に、店を営むおしどり夫婦と見習い職人の3人が織りなすジェンダーがからんだ愛の物語。監督は長編デビューの前作『モロッコ、彼女たちの朝』が評判を呼んだマリアム・トゥザニで、今回も彼女のオリジナル脚本。前作につづき『灼熱の魂』のルブナ・アザバルが妻役で続投。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『テノール!人生はハーモニー』 TENOR 2023年6月9日(金)から新宿ピカデリー/ヒューマントラストシネマ有楽町/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開 |
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■スシのデリバリーで訪れたオペラ座で、ふとしたことから音楽教師にスカウトされるオペラとは無縁の青年。地元フランス・オペラ界のスター、ロベルト・アラーニャをゲストに迎え、オペラ・ガルニエでの内部撮影も見どころ十分なコメディタッチのサクセス・ストーリー。主演はこれが映画初出演、ラップほかで音楽活動をするMB14。教師役で共演するのはベテラン女優のミシェル・ラロック。監督はクロード・ジディ監督の息子で、単独ではこれが初監督となるクロード・ジディ・ジュニア。 監督/共同脚本:クロード・ジディ・ジュニア |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『苦い涙』 PETER VON KANT 2023年6月2日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿武蔵野館ほか全国順次公開 |
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■若く美しい青年に一目惚れしのめり込んでゆく映画監督。一方的な愛が空回りし、ジゴロのようなふるまいの青年に振り回される様子を描いたフランソワ・オゾン監督最新作。敬愛するライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の代表作『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を自由に翻案するなかでオゾン監督は、コメディ要素を加味してパロディ風に描いてゆく。主人公の映画監督役は『ジュリアン』のDV父の印象が強烈なドゥ二・メノーシェ。そこにアジャ―二が大女優役で登場してコミカルに応じる。美青年を演じるのは長編映画初出演、今後が注目されるハリル・ガルビア。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』 WOMEN TAKING 2023年6月2日(金)からTOHOシネマズシャンテ/渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開 |
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■社会から隔絶して生きるプリミティブな宗教コミュニティで、村の男らから許しがたい性暴力を受けてきた女性たちがについに立ち上がる。南米で実際に起きた出来事からインスパイアされたというミリアム・トウズの小説を、『死ぬまでにしたい10のこと』などの女優で秀作『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』ほかを撮ってきたカナダのサラ・ポーリ―監督で映画化。自身による脚本はことしのオスカー脚色賞を受賞。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『波紋』 HAMON 2023年5月26日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 |
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■サラリーマンの夫の突然の失踪、そして突然の帰還。人生設計を狂わされ、新興宗教にすがりながらも懸命に生きるひとりの女性の波乱の歳月を、ブラック・ユーモアも交えて描いた荻上直子監督最新作。名バイプレーヤーにして、主演作の『淵に立つ」(深田晃司監督)や『よこがお』(同)でも高い評価を得ている筒井真理子が主人公に扮し、光石研がその夫役で共演している。今回も荻上監督(『かもめ食堂』ほか)のオリジナル脚本。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『aftersun/アフターサン』 aftersun 2023年5月26日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿ピカデリーほか全国公開 |
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■20年前の父とのふたり旅。あの頃の父と同じ年齢になったいま、思い出の旅を回想しながら娘の視点で父の内面に思いを馳せる人間ドラマ。スコットランドの新鋭シャーロット・ウェルズ監督の自伝的要素を含むデビュー作で、ホームビデオを交えノスタルジックに描いてゆく。主人公のソフィー役は難関のオーディションで選ばれたフランキー・コリオ。父親役は『GLADIATOR 2』をはじめ次回作目白押しのポール・メスカル。 監督/脚本:シャーロット・ウェルズ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『老ナルキソス』 OLD NARCISSUS 2023年5月20日(土)から新宿K’s cinemaほか全国順次公開 |
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■老いをだれよりも受け入れられず苦悩するゲイでナルシストの老絵本作家と、恋人がいながらウリセンボーイとして日々を生きる若く美しい青年。自分にはないものをたがいに見たふたりは、しだいに心を通わせ絆を結んでゆく。レインボーリール映画祭などで注目されてきた東海林毅監督が自身の短編を長編映画化。状況劇場出身の名脇役、田村泰次郎と若手の水石亜飛夢がW主演で共演。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『TAR/ター』 TAR 2023年5月12日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 |
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■世界最高峰のオーケストラ初の女性主席指揮者として、また作曲家としても輝かしい実績を残し君臨してきたリディア・ター。だが奔放な生きざまが私生活に影を落とし、スキャンダラスな陰謀にもはまってゆくサスペンスタッチの人間ドラマ。ター役のケイト・ブランシェットがゴールデングローブ賞、ヴェネチア映画祭ほか女優賞を多数受賞。『イン・ザ・ベッドルーム』『リトル・チルドレン』のトッド・フィールド監督が脚本も書き下ろしている。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『EO イーオー』 EO 2023年5月5日(土)からヒューマントラストシネマ渋谷/新宿シネマカリテほか全国公開 |
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■EO(イーオー)という名のロバの数奇な運命を追った物語。『アンナと過ごした4日間』のポーランドの異才監督イエジ―・スコルモフスキがさりげなく、そして優しい目をもって、あてもなく彷徨いさまざまな人びとの多彩な人生と出会うロバの行く末を見つめてゆく。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『それでも私は生きていく』 UN BEAU MATIN(ONE FINE MORNING) 2023年5月5日(土)から新宿武蔵野館/シネスイッチ銀座ほか全国順次公開 |
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■仕事をしながらひとり娘を育て、記憶を失いつつある最愛の父にも寄り添う、そんな滅私的なあわただしい日々を送るシングルマザーに、ある日思いがけない愛が生まれるが…。『ベルイマン島にて』につづくミア・ハンセン=ラヴ監督の新作は、多忙、喪失、歓びが渦巻くひとりの女性の人生を描いた人間ドラマ。監督のお気に入り俳優、レア・セドゥ、メルヴィル・プポー、パスカル・グレゴリーが共演している。 監督/脚本:ミア・ハンセン=ラヴ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『私、オルガ・へプナロヴァ―』 JA, OLGA HEPNAROVA(I, OLGA HEPNAROVA) 2023年4月29日(土)から渋谷・シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 |
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■1973年にチェコで実際に起き、世間を騒がせたトラックによる大量無差別殺人事件。その犯人で同国最後の女性死刑囚となった若い女性、オルガ・へプナロノヴァ―を描いた人間ドラマ。2010年に出版された原作本をもとにトマーシュ・ヴァインレプとペトル・カズダ、ふたりの監督が脚本を書き映画化した。 監督/脚本: トマーシュ・ヴァインレプ/ペトル・カズダ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『午前4時にパリの夜は明ける』 LES PASSAGERS DE LA NUIT 2023年4月21日(金)からシネスイッチ銀座/新宿武蔵野館/渋谷シネクイントほか全国公開 |
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■夫と別れ外で働くことになったことから、また仕事先で出会ったホームレスの若い女性を家に招き入れたことから、彼女や息子の人生が動き出してゆくその7年間を描いたヒューマンドラマ。監督は『アマンダと僕』で注目されたミカエル・アース。ふたりの子を持つ主人公にシャルロット・ゲンスブール。そしてエマニュエル・べアールが主人公の上司でちょっと風変わりなラジオのパーソナリティとして登場する。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『幻滅』 ILLUSIONS PERDUES 2023年4月14日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿ピカデリー/YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開 |
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■19世紀フランスの文豪オノレ・ド・バルザックの代表作「人間喜劇」から「幻滅―メディア戦記」を映画化。詩人を夢見る田舎育ちの純朴な青年が、恋仲の貴族夫人とパリに出たのちに都会の荒波にもまれ、いつしか初心を忘れて欲得の世界に飲み込まれてゆく。監督は『情痴 アヴァンチュール』『偉大なるマルグリット』のグザヴィエ・ジャノリ。地元フランスのセザール賞で作品賞ほか7冠獲得。 監督/脚本:グザヴィエ・ジャノリ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『聖地には蜘蛛が巣を張る』 HOLY SPIDER 2023年4月14日(金)から 新宿シネマカリテ/ヒューマントラストシネマ渋谷/日比谷・TOHOシネマズシャンテほか全国順次公開 |
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■2000年ごろにイランで実際に起きた娼婦連続殺人事件を、女性蔑視が蔓延する同国の社会的背景に視線を向けて描いたクライム・サスペンス。ヨーロッパに拠点を移したのちに撮ったダークファンタジー『ボーダー 二つの世界』で大注目されたイラン出身のアリ・アッバシ監督が、祖国にはびこる根深い闇を15年の構想を経て描いている。 監督/共同脚本:アリ・アッバシ 共同脚本:アフシン・カムラン・バーラミ |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ガール・ピクチャー』 TYTOT TYTOT TYTOT(GIRL PICTURE) 2023年4月7日(金)から新宿シネマカリテ/YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開 |
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■大人ではないけれど子どもでもない。セクシャリティや親との関係、打ち込む競技から受けるプレッシャー。三者三様の悩みを抱える少女たちを、何かが起きそうな週末にフォーカスして描いたフィンランド発青春映画。監督のアッリ・ハーパサロをはじめ脚本家、プロデューサー、制作会社と、つくり手の主要ポストも女性スタッフが占め、女性目線で描かれている。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『パリタクシー』 UNE BELLE COURSE 2023年4月7日(金)から新宿ピカデリー/角川シネマ有楽町ほかで公開 |
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■借金を抱えてどん詰まりの人生を送るタクシー運転手が、終の棲家となるホームに向かう老婦人を乗せたことから、ふたりのあいだに芽生える強い絆。驚きの結末へと向かう心温まる物語は地元フランスで大ヒットした。監督は『戦場のアリア』で注目されたクリスチャン・カリオン。御年94歳、シャンソン界の大スターでもあるリーヌ・ルノーが、こちらもフランスの国民的コメディアンで俳優のダニー・ブーンと共演。 監督/共同脚本:クリスチャン・カリオン 共同脚本:シリル・ジェリー |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ザ・ホエール』 THE WHALE 2023年4月7日(金)から日比谷・TOHOシネマズ シャンテほかで公開 |
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■心に深い傷を負って引きこもり、過食症から度を超す巨体となった余命わずかな男性。生きる力もないなか、疎遠となっていた娘との絆を取り戻そうと最後の気力をふり絞ってもがく姿を描いた人間ドラマ。監督は『レスラー』や『ブラック・スワン』のダ―レン・アロノフスキー。『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザーが巨漢を演じ、ことしのアカデミー賞主演男優賞を受賞。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『ノートルダム 炎の大聖堂』 NOTRE-DAME BRULE(NOTRE-DAME ON FIRE) 2023年4月7日(金)から全国IMAXほかで公開 |
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David Koskas/Guy Ferrandis/Mickael Lefevre |
■2019年、工事中の建物から失火し炎上したパリの観光名所ノートルダム寺院。世界中を震撼させた世界遺産大炎上の顛末が劇映画になった。報道映像や現場で撮られた動画などを巧みに織り交ぜながら、スペクタクルなパニックムービーとして映画化したのは、『薔薇の名前』や『愛人/ラマン』などの地元フランスの大ベテラン、シャン=ジャック・アノー監督。全国のIMAXを中心に公開。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『生きる LIVING 』 LIVING 2023年3月31日(金)から全国東宝系で公開 |
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■黒澤明監督が志村喬主演で撮った1950年代の代表作『生きる』を、イギリスを舞台にノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本でリメイクした人間ドラマ。生ける屍のような日々を送る公務員の男性が、余命宣告を受けたことから残り少ない命と向き合い、最後の生きがいを見出す姿が描かれる。主演は英国のベテラン、ビル・ナイ。監督は南アフリカ出身のオリヴァー・ハーマナス。 監督:オリヴァー・ハーマナス |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『トリとロキタ 』 TORI ET LOKITA 2023年3月31日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿武蔵野館/渋谷シネクイントほか全国順次公開 |
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■難民船の上で出会い、固く結ばれたニセの姉弟ロキタとトリ。借金返済と祖国の母への送金のために、少女ロキタは少年トリとともにドラッグの運び屋をし、さらに正体不明の闇の世界に手を染めてゆく。『ロゼッタ』をはじめ子どもたちに寄り添った秀作を送り続けるダルデンヌ兄弟監督が、祖国を離れ異国の地で危なげに生きる少年少女を描いている。カンヌ映画祭75周年記念大賞受賞作。 |
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注目のロードショー ROADSHOW |
『メグレと若い女の死 』 MAIGRET 2023年3月17日(金)から新宿武蔵野館/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開 |
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■パリの広場で発見された若い女性の刺殺死体。鋭い洞察力を発揮する担当刑事、メグレ警視が事件の真相と本質に迫り、背景にある社会的な問題も暴いてゆくミステリー作品。古典的名作「メグレ警視シリーズ」の原作のまま、50年代のレトロなタッチで描いたのは、シムノン作品は『仕立て屋の恋』につづきこれが2作目のパトリス・ルコント監督。ジェラール・ドパルデューがイメージに近いメグレ警視を演じている。 |
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『コンペティション』 COMPETENCIA OFICIAL(OFFICIAL COMPETITION) 2023年3月17日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿シネマカリテほか全国公開 |
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■名声を残そうと富豪の道楽で始まった映画製作。世界有数の映画監督と人気俳優、実力派俳優が招集され、用意されたのはノーベル賞受賞小説。監督と俳優のエゴイズムがぶつかり合う破天荒なリハーサル風景、そして意外な結末を描いたシニカルなヒューマン・コメディ。『ル・コルビュジェの家』の映画監督コンビ、G・ドゥプラットとM・コーンが、自国アルゼンチンからベテランのオスカル・マルチネス、スペインから人気俳優ペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラスを招いて撮影している。 監督:ガストン・ドゥプラット/マリアノ・コーン |
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『The Son/息子』 The Son 2023年3月17日(金)から日比谷・TOHOシネマズ シャンテほか全国公開 |
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■両親の離婚が原因なのか。心に闇を抱え社会に適応できない息子と、息子と新しい家族とのはざまに立ち苦悩する父親。袋小路にはまった家族の姿を描いたのは、緻密な演出で認知症の父を描き注目された『ファーザー』のフロリアン・ゼレール監督。劇作家でもある彼の自作戯曲を、ベテラン脚本家クリストファー・ハンプトンとともに脚本化し映画化した。監督2作目。また主演を買って出たヒュー・ジャックマンが制作総指揮し、彼の父親役を『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスが演じている。 監督/共同脚本/原作戯曲:フロリアン・ゼレール |
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『赦し』 DECEMBER 2023年3月18日(土)から渋谷・ユーロスペースほか全国順次公開 |
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■7年前に重刑の判決が下りたクラスメート殺人事件に再審の機会が与えられ、召喚される被害者の両親。事件後に離婚しそれぞれの道を歩む元夫婦をふたたび襲う悲しみ、怒りが複雑にからみ葛藤する姿と、加害少女との対峙を描いた人間ドラマ。2011年に来日し日本で活動するインド系監督、アンシュル・チョウハンがメガホンを取っている。両親役は尚玄とMEGUMI。個性派の松浦りょうが加害者少女を演じている。 監督:アンシュル・チョウハン
脚本:ランド・コルター |
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『マイヤ・イソラ 旅から生まれるデザイン』 MAIJA ISOLA 2023年3月3日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿シネマカリテ/YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開 |
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© 2021 Greenlit Productions and New Docs |
■カーテン生地などのファブリック製品を中心に洋服から日用品まで、色鮮やかな色彩と個性的なデザインで世界に進出したフィンランドのファッションブランド「マリメッコ」。その顔となったデザイナー、マイヤ・イソラの自由奔放な放浪の人生を追ったドキュメンタリー。旅先から娘のクリスティーナに送った手紙、クリスティーナ本人による回想、日記やアーカイブ映像などで生きざま、創作のヒントやインスピレーションの源、あるいはマリメッコのオーナーであるアルミ・ラティアとの確執などを追ってゆく。監督は長編ドキュメンタリー2作目のレーナ・キルぺライネン。マイヤ・イソラのファブリックには子どものころから親しんできたという。 監督/脚本:レーナ・キルペライネン |
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『エッフェル塔~創造者の愛~』 EIFFEL 2023年3月3日(金)から新宿武蔵野館/シネスイッチ銀座/ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開 |
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■世界有数の観光地フランス・パリのシンボルとして、セーヌ川のほとりにそびえ立つエッフェル塔。100年以上経ったいまも変わらない姿を見せるあの鉄の塔には、いったいどんなドラマが隠されているのか。生みの親ギュスターヴ・エッフェルの知られざる人物像と若き日の激しい恋を、想像もめぐらせながら描いた人間ドラマ。ロマン・デュリスの相手役として、Netflixの人気シリーズ「セックス・エデュケーション」で注目のエマ・マッキーが抜擢。そしてブルブロン監督は本邦初登場。 監督:マルタン・ブルブロン 脚本:カロリーヌ・ボングラン |
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『逆転のトライアングル』 TRIANGLE OF SADNESS 2023年2月23日(木・祝)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 |
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■さまざまなセレブが集う豪華客船が難破。数名が生きて無人島にたどり着くと、そこでリーダーとなるのは裕福な者ではなく、生きるすべを知っている意外な人物だった。シニカルな語り口が持ち味のオストルンド監督は、今回も格差社会を皮肉たっぷりに描き、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』につづいて2作連続でカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞。また主要人物のひとりヤヤ役を好演したチャールビ・ディーンは公開間もない昨年8月、32歳の若さで他界している。 監督/脚本:リューベン・オストルンド |
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『ワ―ス 命の値段』 WORTH 2023年2月23日(木・祝)からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開 |
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■2001年9月11日の同時多発テロ発生直後に、犠牲者および遺族のために米政府が立ち上げた救済基金。その分配をめぐり基金の責任者となった数字のエキスパートと、受給当事者たちとのあいだに生まれた亀裂およびその顛末を描いた社会派ヒューマンドラマ。実在の弁護士ケン・ファインバーグの回顧録をもとに、『スポットライト 世紀のスクープ』『それでも夜は明ける』のスタッフ、新進のサラ・コランジェロ監督が手がけている。 |
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『エンパイア・オブ・ライト』 EMPIRE OF LIGHT 2023年2月23日(木・祝)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 |
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■1980年代初頭。イギリスのとある町の歴史ある映画館を舞台に、そこで働く人々の人間模様、上司と従業員の主従関係、そして古参の女性マネージャーと新入り男性の恋愛関係などを描いた人間ドラマ。脚本はサム・メンデス監督自身が、みずからの青春期をふり返りながらコロナ下に書き上げた。 |
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『別れる決心』 헤어질 결심(DECISION TO LEAVE) 2023年2月17日(金)からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開 |
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■不審な死を調べるうちに、重要参考人である女性に心を奪われのめり込んでゆく刑事。恋と使命の板挟みとなって苦悩する、仕事熱心で生真面目な男をミステリーで描く愛のドラマ。『オールドボーイ』や「お嬢さん』のカンヌ映画祭の常連パク・チャヌクが同映画祭で監督賞を受賞。 |
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『コンパートメント No.6』 HYTTI NRO 6(COMPARTMENT NUMBER 6) 2023年2月10日(金)から新宿シネマカリテほか全国順次公開 |
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■モスクワからロシア北端の町までの長距離寝台列車で、粗野な男と同室になった女性の困惑、葛藤を経て心をかよわせてゆく様子を描いた愛の物語。『オリ・マキの人生で最も幸せな日』のユホ・クオスマネン監督が、原作を大きく翻案して映画化した。第74回カンヌ映画祭で次席のグランプリを獲得。 |
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『対峙』 MASS 2023年2月10日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか公開 |
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■6年前に高校の校内で起きた銃乱射事件の被害者と加害者の両親が、初めて顔を合わせて対峙するスリリングな対話劇。俳優としてキャリアを重ねてきたフラン・クランツが、実際に起きた事件やいくつかのリポートに衝撃を受け、みずから脚本を書いた監督デビュー作。映画やテレビ、演劇界で活躍する4人の俳優のコラボも見どころ。
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『すべてうまくいきますように』 TOUT S'EST BIEN PASSE 2023年2月3日(金)からヒューマントラストシネマ有楽町/新宿武蔵野館/渋谷・Bunkamuraほか公開 |
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■脳卒中で体が不自由になり安楽死を望む父と、戸惑いながらも父の幸せを模索する娘たち。安楽死が条件つきで認めらているスイスの隣国フランスを舞台に、ユーモアも交えて描いたオゾン監督最新作。原作者のエマニュエル・ベルンエイムはオゾン作品の共同脚本家として監督と旧知の仲だったが、自身の体験を書いた本作を残し癌で他界している。そのエマニュエル役を演じるのは、オゾンと初共働のフランスの国民的人気者ソフィー・マルソー。共演はアンドレ・デュソリエ、シャーロット・ランプリング。 監督/脚本:フランソワ・オゾン 原作:エマニュエル・ベルンエイム |
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『イニシェリン島の精霊』 THE BASHEES OF INISHERIN 2023年1月27日(金)から日比谷・TOHOシネマズ シャンテほか全国公開 |
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■評判を呼んだ衝撃作『スリー・ビルボード』から5年。マーティン・マクドナー監督の新作は、舞台をアメリカから彼のルーツであるアイルランドに移しての人間ドラマ。長年の親友と思っていた老境の男から、ある日突然絶交を告げられ途方に暮れる主人公。その戸惑いと葛藤と怒り、さらにはふたりの壮絶な戦いに至る不条理なできごとを、設定に似たアイルランドの島々でロケ撮影した。ふたりの男ファレルとグリーソン、主人公の妹役ケリー・コンドンら地元アイルランド出身の俳優陣が演じている。今回もマクドナー監督の書下ろし脚本。 監督/脚本:マーティン・マクドナー |
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『ヒトラーのための虐殺会議』 DIE WANNSEEKONFERENZ(THE CONFERENCE) 2023年1月20日(金)から新宿武蔵野館/ヒューマントラストシネマ有楽町/YEBISU GARDN CINEMAほか全国順次公開 |
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■ナチス・ドイツによるユダヤ人絶滅作戦――。戦後明らかになってゆく「ユダヤ人問題の最終解決」とはどのようなもので、いかにして進められたのか。「ヴァンゼ―会議」と呼ばれるカンファレンスの全貌を描いた歴史映画。地元ドイツでおもにテレビ映画を手がけてきたマッティ・ゲショネック監督がメガホンをとり、ドイツやオーストリアの名優たちが確かな演技で見せてくれる。 |
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『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』 SHE SAID 2023年1月13日(金)からTOHOシネマズ 日比谷/渋谷・ホワイト・シネクイントほか全国公開 |
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■世界を震撼させ、性犯罪告発運動「#MeToo」のきっかけとなったハリウッドのハーヴェイ・ワインスタイン事件。ピューリッツア賞を受賞した米ニューヨーク・タイムズ紙の女性記者ふたりのスクープが回顧録となり、ハリウッドで映画化された。監督は『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』のマリア・シュラーダー、脚本は『イーダ』や『ロニートとエスティ 彼女たちの選択』のレベッカ・レンキェヴィチと女性陣で固められている。 |
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『モリコーネ 映画が恋した音楽家』 ENNIO 2023年1月13日(金)からTOHOシネマズ シャンテ/渋谷・Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開 |
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写真下:モリコーネ(左)とジュゼッペ・トルナトーレ監督 |
■500以上の映画およびテレビのための作品を残し、2020年に91歳で他界したイタリアの音楽家、エンニオ・モリコーネの全貌をとらえたドキュメンタリー。『ニュー・シネマ・パラダイス』以来協働し続けたジュゼッペ・トルナトーレ監督が2016年にカメラを回しはじめ、モリコーネと交流のあった多彩な関係者へのインタビューも交えて構成した入魂の一作。 |
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『恋のいばら』 KOINO IBARA 2023年1月6日(金)からTOHOシネマズ 日比谷/渋谷シネクイントほか全国公開 |
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■わかれた恋人から自分の画像を取り戻したい一心で、元カレの現在の恋人にまとわりつく若い女性。元カノ、今カノふたりの女性はいつしか情報を共有し合うようになり、不思議な三角関係が築かれてゆくミステリアスでコミカルなラブストーリー。監督は『女子高生に殺されたい』などの城定秀夫。今泉力哉監督とのコンビも多い脚本家の澤井香織が、城定とともにひとひねりした脚本を書いている。 |
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