■INTRODUCTION
同性同士の恋愛が白眼視されるどころか犯罪だった100年前のイギリス。名門ケンブリッジ大学で出会った金髪の美しい青年モーリス(ジェームズ・ウィルビー)と上流階級出身でこちらも美青年のクライヴ(ヒュー・グラント)は、たがいに惹かれ合うが一線を越えることができない。その後、弁護士を目指すクライヴは自分と同じ上流社会の女性と結婚する。惹かれ合いながらも社会の在り方に翻弄されるふたりの青年の葛藤と苦悩に満ちた禁断のドラマだ。
英国の作家E・M・フォスターが原作を書いたのは20世紀初頭、だが出版されたのは彼の死後の1971年だった。さらにジェームズ・アイヴォリー監督らによって脚色され映画化されたのは1987年になる。ちなみにアイヴォリー監督はほかにも『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』でフォスター作品を手がけ好評を得ている。
映画制作から30年を経ての4Kデジタル版によるリバイバル上映。奇しくもこの3月にはアイヴォリー監督が脚本家として久々に登板した『君の名前で僕を呼んで』(4月27日公開)が米アカデミー賞の脚色賞を受賞。こちらも高校生と大学院生というふたりの若い男性の恋を描いた物語で、LGBT映画の古典的存在『モーリス』と新作『君の名前で僕を呼んで』、アイヴォリーが手がけた新旧LGBT作品の競演となる。
(Text by NorikoYamahita 2018年4月6日 記)
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●モーリス4K | 4月28日(土)~YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
監督/共同脚本:ジェームズ・アイヴォリー 出演:ジェームズ・ウィルビー/ヒュー・グラント/ルパート・グレイヴス
1987年/2018年イギリス(141分) 配給:KADOKAWA 原題:MAURICE
©1987 Merchant Ivory Productions Ltd. A Merchant Ivory Film in association with Film Four International and Cinecom Pictures
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