パフォーマンスのあとにクリエイティブ・ディレクター箭内道彦氏と対談したセルゲイ。
写真(c):坂田正樹
箭内「アートというものをどうとらえていますか?」
セルゲイ「私にとってアートとは優雅で美しいものを生み出すこと。それが人々の心に届き日々の暮らしに足りないものを補うのだと思います。
もしこの世の中がパーフェクトだったらアートはいらない。ところが悲しいことに世界は戦争やテロなど悪事に溢れている。だからこそアートは存在するのではないかと思います」
箭内「ここ数百年のなかでもっともアートが必要とされている時かもしれません」
セルゲイ「アーティストは世の中を導ける存在だと思っています。火星に行くロケットも建築物も洋服も何もかも、それをつくるアーティストがいなければ存在しない。なにかを生み出すところすべてにアートが存在する。どんな仕事でもクリエイティブであれば、それはアートだと私は思います。だから国を動かす政治家ももっとクリエイティブなヴィジョンや創作といったものに目を向けるべきです」
箭内「これからアートの世界へ入っていく若者たちに向けてひとこと」
セルゲイ「失敗を怖れず勇気を持って挑んでほしい。例えば飛行機が高度を上げ過ぎると不安定になり、安定する位置まで高度を下げようとしますが、私の場合、高いところに留まって必死に維持しようと努力する自分をイメージします。そしてもうひとつ大切にしてほしいのは、孤独であることを怖れず、ありのままの自分でいること。その場所が自分にとって心地良すぎると感じたらそこから立ち去ること」
2017年6月4日 記 |