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それは映画祭4日目の宵、7時過ぎに起きた。ミシェル・アザナビシウス監督によるコンペ部門出品作『リダウタブル』のプレス試写にジャーナリストたちが並んでいたドビッシー劇場前。開映30分前を過ぎてもなかなか入場させないで、集まって何か話し合いをしていた劇場整備員たちが一斉にジャーナリストたちを「ここにはいないで、立ち去って!」と理由も言わずにやたら追っ払う。会場前はパニックに陥ったが、みんななかなか立ち去らない。数十分後に、不審物のバッグが会場内で見つかったが安全だったことが確認され、約40分後に上映が開始された。
ある視点部門の出品が続く黒沢清監督が、審査員賞(トウキョウソナタ)、監督賞(岸辺の旅)に次いで三度目受賞を狙う『散歩する侵略者』が5日目に上映された。その後、ホテルの屋上レストランで会見に応じた三人。松田は『御法度』に次いで17年ぶり、長谷川は初めてのカンヌに各々異なった反応を見せた。観客から「なぜヒロイン(長澤まさみ)が来ないのか」と聞かれ、ちょっと困ったという黒沢監督。
YouTube主催で、エルトンの名曲のイメージ映像化コンペを一般から募集し、その優勝者発表会「エルトン・ジョン:ザ・カット」がカンヌ市内のオランピア劇場で21日開催。エルトンはステージに上がって優勝たちを激励し、『マルコムX』の監督スパイク・リーからのインタビューに答えた。
観光客があまり寄りつかない、地元の市民たちが集まるワイン酒場“ヴァン・ア・カーヴ”を、カンヌ市場そばに見つけた。酒屋が営む飲み屋で、おつまみも簡単なものだけ。一皿19ユーロで出されたのはチーズの盛り合わせに瓶入りパテとパン、多種多様なハムとサラミ、それにピクルスと豪華版。中でもトウガラシ入りのサラミが美味。ワインはもちろん南仏自慢のロゼ。
批評家週間で平柳敦子監督の『オー・ルーシー!』が上映され、主演の寺島しのぶと共演のジョシュ・ハートネットがステージに上がった。43歳独身女が英会話教師に恋し、ロスまで追いかけて心身共に解放する話。仏語で挨拶した寺島に対してジョシュは「仏語は話せないので英語で。批評はお手柔らかに」と控えめな人柄がにじみ出す。
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