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ガーリー・ムービーの元祖ソフィア・コッポラ監督の『ビガイルド』がコンペ部門にエントリーされ、記者会見にはニコールをはじめ、キルステン・ダンスト、エル・ファニング、それにコリン・ファレルが監督と共に顔を揃えた。クリント・イーストウッド主演でドン・シーゲル監督が官能スリラーとして描いた『白い肌の異常な夜』のリメイクだが、ソフィアの手にかかると完全なる“女の園”映画に様変わり。会見でニコールが、映画界で少数の女性監督をできるだけ応援していると述べたのが印象的だった。
河瀨直美に続けと今年は『オー・ルーシー!』の平栁敦子監督に次いで、弱冠21歳の井樫彩監督がカンヌに初登場。東放学園映画専門学校の卒業製作作品だった『溶ける』が、シネフォンダシオン部門(学生映画部門)で上映された。これは地方の女子高生の、行き場のない怒りやモヤモヤとした感情からの解放を描いたもので、主演の道田里羽とウトユウマと共に初めてカンヌへ来て、多くの刺激を受けたようだ。
70周年の記念イベントで『反撥』のカトリーヌ・ドヌーブと再会したポランスキー監督は、83歳になった今も健在。パートナーのエマニュエル・セニエとエバ・グリーンを起用した新作スリラー『ベースト・オブ・ア・トゥルー・ストーリー』で、人気女流作家を恐怖に追い込む熱烈ファンを描いた。ゆったりとした口調のフランス語に時折英語を交えて受け応えする姿に、小柄ながら映画界の大物の風格を感じさせた。
湾岸戦争の帰還兵にして元FBI捜査官、今は裏社会に生きる男の壮絶な生きざまを描いた『ユー・ワー・ネバー・リアリー・ヒア』は、女性監督とは思えないリン・ラムジーの演出とホアキン・フェニックスの存在感ある演技で意外な注目作となった。案の定、監督賞はソフィア・コッポラに譲ったが脚本賞と男優賞を受賞。これはだれもが納得の結果だった。
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